理由をつけてでも会いたい人

友達が少ない。
中でも、気軽に相談できる同性は1人もいない。
こっちの都合で呼び出して「ちょっと聞いてよ今彼氏がさ〜」なんてのはもってのほかだ。

女友達も高校まではいた気がする。学校生活を送る以上約束なしに毎日顔を合わせるのだから、そりゃあそう。大人は相談するのにも時間とお金が必要になるわけだな。あぁ今さら気づいたな。
世間ではガールズトークに花を咲かせる女友達なんて本当に現実に存在しているのでしょうか。創作の中だけじゃなくて?教えて偉い人。

上京〜20代前半の頃、周りの女の人には「あざとい」とよく言われた。自覚もなければ言葉の意味すら曖昧だったので、何言ってんだどこ見てんだとしか思わなかった。
今はなんとなく分かる。わたしは普段よく笑うのだ。それが一番の要因なのではないか。それが人一倍であること、どうやら常人の域を超えているらしいこと、それがわたしの特性であることをずっと知らなかった。

あくまで主観でしかない上言い訳がましく聞こえるのかもしれないけれども、笑うことは別に異性に限ったことではない。
わたしはとにかく面白い人が好きなのだ。そしてわたしを笑わせてくれる人が大好きだ。
そもそも、男兄弟しかいないわたしは普段からあまり性別を意識したことがない。男だから、女だから、なんだと思う。みな同じ人間じゃないか。性別の境界が曖昧な自覚はある。自覚は大事だからね。

例え「あざとい」と言われるような挙動をしているのだとしても、わたしはわたしをこう育ててくれた母に感謝している。容姿はいつだって男の子に間違えられたわりに、“女の子として気が効くように”みたいなステレオタイプな思考で育てられた部分もある。
今はもうあざとくて結構だと思う。その挙動に根拠もなく嘘しかないなら気持ち悪いけれど、わたしの行動には理由がある。刷り込まれた“目の前の人のために”があれば、わたしは自分の挙動にも自信が持てるのだ。
(一杯目のビールは注ぎますが、サラダは自分で取り分けて欲しいです。好きなものを好きに食べて欲しいので。)

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好きな後輩がいる。わたしの方が少しだけ年上だけど、その子は尊敬と親しみを込めてタメ口を使ってくれる。

2人で会いたいと思う人が本当に少なく、自分から人を誘うことも滅多にない中で、その子には何かと理由をつけて会いたいと思う。前にあったのは去年の2月だった。
今回も勇気を出して誘ってみた。とは言ってももし仮に迷惑がられでもしたら、わたしの心は壊れてペラペラになって飛んでいってしまう。「もし暇を持て余した日があったら誘って」と最大限の自衛をしつつメッセージを送った。その返信が日付で来たことに嬉しくなった。

会いたい人に会いたいというのは勇気が要る。
相手のお金と時間を奪うこと、そしてわたしに割いてくれている相手の時間を価値のある楽しいものにせねばという使命感。
わたしは1人でいることを愛しすぎているのかもしれない。“人と過ごす時間”へのプレッシャーがあまりにも大きいのだ。

その子はみんなの人気者で、よくいろんな人とお酒を飲んだり遊んだりしている。わたしは彼女の、優しくて傷つきやすくてそれでも前向きに頑張ろうとする姿が好きだ。きっとみんなそんな彼女の健やかなところが好きなのだ。

わたしにとっての数少ない理由をつけて会いたい人が、みんなの人気者だったとしても、わたしはそれでも会いたい。
遊ぼうをいうことがこんなに難しくなるなんて、学生のころは思ってもみなかった。もう少し、楽をしてもいいんじゃないかと思ったりもする。けど一向にそうはいられないのだ。

簡単に人は変われない。
わたしはまだまだ人に遊ぼうを言えない自分を受け止めることから始めるよ。





おおすかちゃんを!あなたの力で!生かしてたもれ!✌︎