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「EVERYTHING, EVERYTHING」を読むメリット

今年のGWはネタか?と思うくらい毎日とても良いお天気で大阪にいる僕は「なんでやねん!」と思わず突っ込みたくなってしまいます。

しかしながら今は外出を控えなければいけないご時世なので、(ある人は)ベランダにちょっとしたアームチェアでも用意して、ゆっくり読書でもしたいところですね。

ゲストハウスぐらしの僕にとっては、ある意味存在自体がもうすでに不要不急の外出になっているのですが、まあそれでも必要な時以外はなるべく外に出ないようにはしています。

そんなわけで、ヒマに任せてちょっとボリュームが有ってそこそこ読み応えもある洋書を手に取り楽しんでいるわけなんですが、今回読んだ「EVERYTHING, EVERYTHING」という、ネイティブのティーン向け(と思われる)小説がとっても面白かったので、紹介してみることにしました。

中級者にも上級者にも

物語の主人公は「SCID(Severe Combined Immunodeficiency)」という免疫系の難病を抱える女の子と、その女の子の隣の家に引っ越してきた男の子とのラブストーリーです。

ある意味とても直球のストーリー展開で、40代のおじさんである僕としては読んでいて少々恥ずかしくなる部分もあるのですが、TOEIC900点以上、または英検一級、IELTSだと7.0以上の方には多読用の書籍として程よいレベルになっていると思います。

一方で、800点クラスの方にとっても読みがいのある作品だと思います。中級から上級レベルの英語力を伺う学習者にとってはそれなりに難しい単語が頻出すると思うからです。具体的には旺文社の「パス単英検一級」の「難易度C(最上級)」に収録されている単語がよく出てきます。

例えば以下の4つの「パス単英検一級・難易度Cの単語」が、一つのページ内に出てきます。

cryptic 【形】隠れた、秘密の、不可解な
decipher 【動】(暗号・謎を)解読する、意味を掴む
lurch 【名】突然の揺れ、傾き【動】(船が)急に傾く、よろめく
mundane【形】現世の、世俗の、平凡な

これは特に物語の後半になって顕著になっていく傾向です。男の子との真っ直ぐな恋愛を通じて、葛藤を抱えながらも精神的に大きく成長してゆく主人公の変化を表している、といったらフカヨミしすぎでしょうか。

いずれにしても、真っ直ぐなお話の割には結構骨のある読み物として、もうワンランク上を狙う英語学習者にとっても最適の読み物になっていると思います。

ティーン向けのテクストを英語で読む効用

この「EVERYTHING, EVERYTHING」、取りも直さずティーン向けの小説なんですが、例えば僕のように馬齢を重ねた人間にとって、完全に違う世代の読者を志向している小説を読めるというのは、第二言語学習者としての大きなメリットだと思っています。

例えば、この本と同じくらいの英語レベル児童向け文学として、僕なら「The Little Prince」が思い浮かびます。星の王子様なんて、日本語だとわざわざ手に取ろうと思わないですが、これを英語でもう一度読むとなるととたんに意味が変わりますよね。

Everything〜にしても、この「星の王子さま」にしてもそうですが、児童向けの文学というのはおとなになってから読むととても味わい深いものがあります。日々の生活に追い立てられるように生きる私達だからこその掬すべき知見にあふれていて、そういうのに第二言語で触れることができるというのもまた、英語を学ぶ醍醐味だなと思っています。

同じような理由でおすすめしたい、同じくらいのレベルの児童文学が「Jonathan Livingston Seagull」。邦題は「かもめのジョナサン」です。せっかくのGW、是非チャレンジしてみてください。

「EVERYTHING, EVERYTHING」のメッセージ性

個人的にはこの物語、女の子と男の子との純愛という縦糸に対して「親離れ・子離れ」という葛藤がいわば横糸としてプロットに深く深く組み込まれています。

これがまさに、僕がこの本を手に取ってよかったと思うところで、大人の読者にも十分おすすめしていいと思う理由の一つです。

ここで描かれている主人公の女の子とその母親との関係は、欧米先進諸国だけでなく、物質的な豊かさを享受しているすべての社会に巣食っている病理の一つであるとすら思っています。まぁこれは僕が長く精神科に勤務していたために本書から受け取ってしまったメッセージなのかもしれませんが。

が、いずれにしても、単に「おもしろい」「感動した」で片付けることのできない読後感を僕にもたらしてくれたことは事実で、そのこともまた、この本の読書体験として強調しておきたいなと思う部分です。

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そんなわけで、今日は「EVERYTHING, EVERYTHING」をご紹介してみました。

この小説が時代の風雪に耐えて「Jonathan Livingston Seagull」のような不朽の名作になっていくかどうかは長い時間の検証が必要になるとは思いますが、少なくとも僕にとっては一読に値する小説でした。

是非一度、チャレンジしてみていただければと思います。

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