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Wonderをオススメしたい4つの理由

これまで(そんなにたくさんではないものの)それなりの量の本を多読してきて、一番バランスが取れてていいな〜と思っているのが「Wonder」というネイティブの児童向け小説です。

著者であるR. J. Palacio氏の身に起こった実際の出来事にインスパイアされて書かれた小説で、数々の賞を受賞している児童文学の金字塔とでもいうべき作品です。29ヶ国語に翻訳され、映画化もされている本書。アメリカ国内だけでこれまでに500万部も売れている(シリーズ物も含む)ことからも、この本の凄さがうかがえます。(以上出典:Wikipedia)

以下に英語で書かれたWikiページのリンクを張っておきますので、興味のある方は覗いてみてください。ただし話のあらすじが載っていますので、ネタバレに敏感な方はご注意ください。

この本、色んな意味で多読にオススメなんですが、その理由はだいたいこんな感じかなぁ、と思っています。

1.英文や単語のレベルがそんなに難しくない
2.カジュアルな会話がたくさん出てくるので、使える英語が満載
3.素直な英文で、変な英語が身につく恐れがない
4.お話がおもしろい

では、順番にみていきましょう。

1.英文や単語のレベルがそんなに難しくない

僕がこの本を読んだのは、2018年の8月頃で、当時はフィリピンの語学学校に勤務していました。英語レベルはTOEIC790点、英検準一級に合格したばかりでした。

当時の英語力では、読みすすめるのに少しだけ骨が折れたのを覚えています。多読にはずいぶん慣れ親しんでいたものの、それまではWho wasとかの、一冊で7000語前後の洋書が中心でしたので、実際の本を手にとって、その本のボリュームにまず圧倒されたんです。

が、英語のレベルはそんなに高いと感じませんでした。これまで律儀にWho wasその他の児童書を読み進めていたのが良かったんだと思います。

英語を長時間読むための「体力」

もちろんいきなりこの本から入っていってもいいんですが、英語の本を読むのに必要なスタミナといいますか、そういうものが備わっていないうちはすぐに投げ出してしまうことになると思います。

例えば語学留学にフィリピンに来た初日や最初の週というのは、なんだか脳が変な疲れ方をする、という訴えをされる方が多いんです。脳科学的なことは分かりませんが、よく留学生の方から伺うのが「なんだか脳の普段使わない部分を使ってるみたい」「頭から煙が出そう」という感想です。

科学的な真偽の程はともかく(まあ頭から煙が出ることは科学的にはありえませんが)、それくらい、母国語ではない言語を読んだり話たりすることは消耗が激しいんです。

ですから本書も、レベル的にはそんなに高くはないものの、やはりある程度英語を使ってインプットすることに慣れてから手を出すほうがいいんじゃないかと思います。そっちのほうが多分ずっと効率的ですし、話も楽しめると思います。

2.カジュアルな会話がたくさん出てくるので、使える英語が増える

この本や「Holes」という以前紹介した洋書がいいなと思うのが、そんなに砕けすぎていない会話の文章がたくさん出てくるということです。

ネイティブの会話というのは簡単な単語を駆使して冗談を言ったり、微妙な心のニュアンスを表現したりするのですが、この辺の「知ってる単語なのに、意味がわからない」「笑うところなはずなのに、笑えない」という状況が結構フラストレーションが溜まるものだったりします。

「Wonder」や「Holes」にも、ネイティブの小学生レベルの単語を駆使した句動詞や、ちょっとしたジョークが出てきます。正直な話、僕も100%は理解しているわけではなくて、結構意味がわからないまま飛ばし読みしたりしているんですが、両者がいいのは、それで話の本筋を見失ったりすることがないということです。

意味がわからなければ、そのまま飛ばしたっていい

例えば本書の比較的最初の方で "Let's fix them up on a blind date! Can you imagine?"という文章が出てくるんですが、はっきり言ってこれだけだとよくわからないです。

が、その後の情景描写で周りの人が大笑いすることや、それで主人公が機嫌を直して両親の提案を受け入れることが描かれますので、これが何らかのジョークだということは分かります。そういう感じで読み進めていくのが、多読との上手なお付き合いの仕方の一つです。

こういうのって、受験英語(TOEICや英検を含む)だけを学習しているとなかなか身につかないし、スルーしてしまいがちです。で、もちろん本書の場合はスルーしても話の流れは追えますし、気になれば立ち止まって調べればいい。それはそのまま読者の「使えるフレーズリスト」に登録されるわけですから。

3.素直な英文で、変な英語が身につく恐れがない

これは「Wonder」に限らずすべての洋書に当てはまることですが、ネイティブがネイティブ向けに書いている本ですので、基本的に間違った英語、というのはでてきません。

例えば前述の「Let's fix 〜」という文章でも、この文章自体がなんらかの誤りである可能性は、ほぼ100%ありえません。ですのでこれは「未知のフレーズなんだ」ということで、安心して意味を調べて、自分のボキャブラリー・リストに加えていくことができるわけです。

例えばこれがノンネイティブの英語話者によって書かれたものだとすればそうはいきません。この文章が誤りである可能性、つまり「ネイティブはそんなふうには言わない」といって却下されてしまう表現である可能性を、どうしても否定できないからです。

純度100%のネイティブの英語を安心して堪能しましょう!

そこで万が一誤った英語や不自然な英語を身に着けてしまったらちょっと悲しいですよね。実際、僕たち日本人は学校教育で、あまりに日本人(つまりノンネイティブ)が書いた英文になれすぎてしまっていて「不自然な英語を覚えてしまう/使ってしまう可能性」についてあまりに鈍感です。

最近では、日本語で日本人向けに書かれた英語学習参考書などでも「ネイティブ・チェック」つまり掲載されている英文が不自然ではないかどうかを英語のネイティブスピーカーが出版前に事前にチェックすることが一般的になってきました。

それでも、やはりそれが例えば「日本人向けの英文法解説」等になってしまうとどうしても、文脈から切り離された、文法を解説するためだけに発明された不自然な文章が並ばざるをえないことになります。

「Wonder」においてはそんな心配はまずありませんし、加えて登場する英文はすべて、そのまま英語の文法解説に使いたくなるような素直できれいな英文ですので、なんの心配もなく安心して読みすすめることができると思います。

4.お話がおもしろい

これが一番重要だと思いますが、ボリュームの本を一気に読めてしまうくらい話の展開が素敵です。読み終えるとすごく温かい気持ちになれます。この一点だけでもう十分おすすめの書籍だといい切ってもいいくらいです。

同じような理由でオススメしたいのが、先程少し言及した「Holes」です。

英語学習が苦痛を伴うものであったり、何らかの忍耐を要するものになってしまうと必ずどこかで挫折してしまったり、英語から少し遠ざかったりしてしまうものです。

そして英語にはこれが一番の致命傷で、とにかく英語に触れることがなくなったその瞬間から、英語力というのは徐々に下降し始めます。

しかしながら、例えば多読用として選んだ本なりコンテンツがおもしろいものであれば、その心配はありません。で、そういう意味でも本書はとってもオススメなんです。

こんな方にオススメです!

というわけで今回は児童向け洋書の金字塔「Wonder」をご紹介しました。

本書は以下の方にオススメしたい多読用の書籍になります。該当する!と思われる方はぜひ手にとって見ていただきたいですし、まだまだ早いかな・・と思われた方はぜひ、このレベルの洋書を読みこなせるレベルを目指して、英語学習を楽しく続けていっていただきたいと思います。

■ TOEIC800点台前後で、さらなる得点アップを目指している。
■ TOEICのリーディングセクションの最後のほうが「塗り絵」になってしまう。
■ 英検準一級合格のために、読解力をつけたい。
■英検一級合格のための速読力がほしい。
■ 多読が好き。読み応えのある洋書に挑戦してみたい。
■ ネイティブの自然な英会話に触れてみたい。
■ 英語で書かれた児童文学に興味がある。

ここだけの話ですが、Kindle版の「Wonder」でダウンロードできるサンプルは結構ボリュームあります。ページ数にして44ページ(標準的な文字サイズ)。目次や表紙を除いても30ページ近くありますので、ある意味読み応え十分です。

もちろん無料ですので、興味のある方は一度チェックして、多読にチャレンジしてみてください。30〜40分もあれば一気に読めると思います。



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