米アマゾン ロビー活動禁止欧州議会決定 労組などの訴え実る〜すべてがNになる〜

2024年3月1日【国際】

 【ベルリン=吉本博美】欧州連合(EU)の欧州議会は27日、議会敷地内における米ネット通販大手アマゾンのロビー活動(自社に有利な政策を展開するよう求める活動)の禁止を決定しました。アマゾンの従業員搾取を告発し続けてきた労働組合や市民社会の運動の成果だとして歓迎の声が上がっています。

 労組など30超の市民団体は欧州議会議長への共同書簡で、アマゾンに欧州議会への敷地内の出入りを許可する「ロビー活動バッジ」を取り上げるよう求めていました。欧州議会はこうした要請や、同社が労働環境に関する公聴会への出席を繰り返し拒んできたことを受けて、ロビー活動禁止へと動きました。

 アマゾンは物流センターの従業員に対する厳しい監視や成果主義、労災発生率の高さが非難されています。昨年の特売セール「ブラックフライデー」では30カ国以上で従業員がストライキに立ち上がりました。

 国際労組連盟「UNIグローバルユニオン欧州」のオリバー・ロエティヒ事務局長は欧州議会の決定について、より良い労働環境を求めてきた欧州全域の従業員にとっての重要な勝利であり、「アマゾンの非民主的な態度は許されないと議会は明確に一線を引いた」と評価しました。

 アマゾン従業員で欧州労使協議会メンバーのジャンパオロ・メローニ氏は「アマゾンでの自由な労組活動、よりよい賃金と労働条件に向けて交渉する権利も実現させたい」と意気込みを述べました。

 欧州議会で企業のロビー活動が禁止となるのは2017年の米農薬大手モンサント社につづく2例目。調査団体「コーポレート・ヨーロッパ・オブザーバトリー」によると、アマゾンは13年から約1880万ユーロ相当のロビー活動を欧州機関で展開していました。

 3月1日 更新

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