自律型攻撃「レッドライン」AI兵器で国連報告書〜すべてがNになる〜

2024年1月7日【国際】

【ニューヨーク=時事】人工知能(AI)についてリスクや国際管理の在り方を検討している国連の諮問機関は3日までに、中間報告書を公表しました。軍事利用が進む中、AIが人間の判断を介さずに危害を加えることは「レッドライン(越えてはならない一線)だ」と明記し、「公共の利益」に沿った規範が必要だと訴えました。
 報告書は、AIが教育や環境などの分野で「優れた可能性」を持つとした一方、戦場でのAI兵器使用が増加していると指摘。機械が自律して人間を標的とし、攻撃することはあってはならないと強調しました。
 AIが自ら判断して敵を殺傷する兵器は「自律型致死兵器システム(LAWS)」と呼ばれ、火薬、核兵器に続き戦争を根本的に変える「第3の革命」になるとみられています。
 国連総会は先月、LAWSへの対応が急務だとする初の決議を日米など152カ国の賛成多数で採択しました。グテレス事務総長も、2026年までに法的に禁じる枠組みを設けるよう各国に呼び掛けています。
 報告書は、AI管理は国連憲章や国際人権法に基づいた形で、途上国も含む全ての国が参加するべきだとも提言しました。諮問機関は中間報告書への意見を募り、今夏までに最終報告書をまとめます。
 専門家で構成する諮問機関は昨年10月、グテレス氏が設置。日本からは江間有沙・東大准教授とソニーグループの北野宏明・最高技術責任者(CTO)が参加しています。


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