食の発明

カエルの卵はイクラに似ている。
イクラは赤いが、違いは色くらいで、多分セピア調にされると判別不能になる。
神経衰弱でセピア調のカエルの卵とセピア調のイクラを同時にひっくり返したとしても、きっと誰にも気付かれずに手元に持ってくることができて、もう一度めくるチャンスを与えられる。
まあ、カエルの卵とイクラが似ているのは当たり前と言われればその通りだ。
どちらも子供は水中で暮らすのだし、両生類は魚類のグループから進化してきたのだから、同じような卵であるのは当然のことだ。
しかし、両者には明らかな違いがある。
カエルの卵は食用とされないが、イクラは食用とされるのだ。
どう考えても、イクラよりカエルの卵の方が手に入りやすいのに。
きっと、カエルの卵だって醤油漬けにしたら美味しい。
しかし今現在の時点でカエルの卵が食べられていないということは、カエルの卵に何か重大な欠点があるということの表れなのか?
先人達の中にはカエルの卵を食べた者もいたが「これは違う」となったのかもしれない。
そう思えば、なぜこんなもの食べるのだろう、と思う食材は少なくない。
ナマコもそうだ。
どうしてもナマコを食べたい人達が囲炉裏を囲み、どうすればナマコを美味しく食べれるか話合ったりしたのだろうか。
そのうちの一人が「一旦干したりしてみます?」と言い出したりしたのだろうか。
うわ〜今一番したいかもしれない。
一番言いたい。
「一旦干したりしてみます?」

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