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取引先情報をオープンにするということ

前回、服の透明性を考えた時に、取引先情報はオープンにしていいのではないかという話を出しました。


ここに関して少し深堀をしたいと思います。


まず、前提として、この視点は繊維業界における非上場小規模企業の視点です。業種にもよりますが、10億前後までの規模でしょうか。100億以上規模であればまた違うかなとも思いますし、上場企業は当然該当しません。


その上で。


どこと取引しているのか、服であればどの工程をどこに依頼しているのか、
はオープンにする方が良いと考えています。


理由は3つ。

1)取引先情報はどうせ流れる(WEB、人の口コミ)

2)情報そのものに価値はない(取引は人間関係要素も多い)

3)情報はオープンにするところに集まる

です。


まず
1)取引先情報はどうせ流れる

これは想像しやすいと思いますが、インターネットが無かった時代は良い取引先を持つことは重要だったと想像できます。情報の伝達速度が遅く広がりにくいですし、たとえ知られてもそれまでは十分に利益を上げられたでしょう。

これが今やスマホで一瞬です。北海道で知った情報をチャットで知らせればあっという間に全国の関係者に伝播させることが可能です。

そんな情報をクローズにする意味はありません。


2)情報そのものに価値はない

今は変化のスピードが比べ物にならないくらいなったことで、情報の鮮度が落ちるスピードも格段に早くなりました。

1年前と取引先は一緒でも取り組み方は違うなんてことは日常茶飯事です。
なので情報そのものには価値が無く、それをどう活かすかが大事です。

例えば、取引先情報を知っても、取引先が実際に商売をしてくれるかどうかは別問題です。特にモノづくりの川上に行けば行くほど、誰とでも取引したいわけではなく、人間関係ができていてコミュニケーションストレスのないところからの仕事中心にしたいと考えていると感じます。

当然といえば当然で、製造業は製造するのがメインの業務です。人が多く営業部署の充実した大手ならともかく、営業は経営者だけというのがザラな状況では営業部分を簡素化できるならそうしたいはずです。

実際に2-3社からしか仕事を受けない個人の工房は存在します。さすがに窓口が1社だけというのはリスクが高すぎると思いますが・・・。


3)情報はオープンにするところに集まる

個人的にはこれが一番大きな理由です。

情報をオープンにしていると、オープンにする人と接する機会が増えます。
また、「〇〇さんだから言うけど」という話も出やすくなります。

結果、情報をクローズにしてる人や会社は知らず知らずのうちに活発な情報のやり取りの外にいた、なんてことが起きる時代だと思っています。

情報そのものには価値がありませんが、情報を集めなくていいわけではありません。人は情報を知り、そこから判断し、行動します。そうでなければ、自分で勝手に考え、自分の視野だけで判断し行動することになります。


いや、おそらくはもっとたちが悪いでしょう。
スマホ検索して情報を集めている、いつも話しやすい人とだけ交流していると「自分に都合のいい情報」だけで判断して行動することになります。


取引先情報はオープンにしていくことは多くの場合でメリットが大きいと考えています。


少し余談です。

問屋をやめる方針を決めたことにも取引先情報の透明性が関係します。

もともと問屋は在庫調整機能が重要だったと認識しています。それがいつしか在庫リスクの大きさが事業に影響を与え始め、リスクを徐々に取らなくなります。(この是非は別問題なので置いておきます)

在庫リスクをあまりとらない問屋(?)は単なる中抜きになりがちです。そうなると、「取引先情報」は飯のタネ、秘密にした方が良いという発想に繋がりやすいです。

こういうサイクルは不毛かつ事業の将来を閉ざすと感じました。情報をオープンにした方がいいと考えた段階で、問屋はやめる宿命だったのかなと思っています。

余談おわり。



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