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BEYOND オタク遠征紀行

※この文章はアイドルオタクが書いています
※フィギュアスケートは雰囲気で楽しんでいます


BEYOND、それは浅田真央さんが生み出した最高アイスショーである。

これはそんなBEYONDにある日突然狂ってしまったアイドルオタクの遠征の思い出だ。ショーの話も、ショーと直接関係のない話も書いたせいで、長くなってしまった。(14000字、小論文?)
楽しかった日々を思い出せるように、好きな時に振り返れるように、新鮮な気持ちを瓶詰めにしたくて残しておく。


主な登場人物

・筆者
指原莉乃さんプロデュースのアイドルグループ「=LOVE(イコールラブ、通称イコラブ)」のメンバーである髙松瞳ちゃんのオタク。好みの演者に抗う力は、ハムスターの握力より弱い。
BEYONDは2回目までは普通に楽しんでいたはずが、後述の友人に誘われた3回目から突然狂ってしまった。

・友人
現役時代からの山本恭廉さんのファン。BEYONDのことは、人生のボーナスタイムだと思っている。まだ見ぬ同志のため常に恭廉バナーを余分に持参しているし、引退セレモニーの円盤も複数購入している、良いオタク。
BEYONDに真剣になりすぎて、他の趣味に支障をきたし始めているらしい。

・浅田真央さん
最高エンターテイメントこと、アイスショー「BEYOND」の創造神。天であり地であり人。
スケートも美しければ心も美しい。それでいてとってもキュートなのですごい。

・山本恭廉さん
ショースケーター。BEYONDのキャスト。キラキラ笑顔のエンターテイナー。
やばめのオタク×2(友人と筆者のこと)に各地でバナーを持たれているが、もし迷惑だったら誰かこっそり教えてほしい。



愛知(豊橋)公演 ※結局行けなかった

友人から誘われたものの、行けなかったので大層残念だった公演だ。愛知に行けなかったわけではなく、イコラブとはまた別のグループのライブでちょうど愛知には居たのだが、会場がセントレア(中部国際空港)のあたりだったので、物理的に間に合わず泣く泣く諦めた。セントレアから豊橋、遠すぎるのでなんとかしてもらっていいですか?

土曜がライブ、日曜はラッコを見に鳥羽水族館まで一人旅に出てしまったが、今から思えば鳥羽水族館を別日にしてBEYONDに行くべきだった。ちなみに鳥羽水族館はとても楽しいのでおすすめ。



山梨公演

友人と江戸川公演の帰りに「江戸川公演がこんなにチケット取れないなら立川公演も同じだろうから、もう山梨公演とか行くしかないかな」という会話をしたら、本当にチケットを取ってしまったので、行った。
友人とはこれが初めての旅行であり遠征だったが、友人と私はオタクとしての魂の形が似ているため、お互いの狂いが加速していくかなり最悪コンビであることが感じ取れる遠征だった。

山梨公演1日目の前日(金曜日)に大阪でイコラブのライブが昼夜2公演あったため、金曜日に東京(自宅)→大阪(イコラブ)の移動、土曜日の早朝に大阪から移動して土曜日日曜日と山梨(アイスショー)というエクストリーム遠征をするはめになった。ちなみに山梨公演2日目の日曜日にイコラブのライブが愛知であったため、万が一イコラブが当選したら山梨からさらに愛知に行く必要があったが、幸か不幸か落選した。

事前に持っていた2公演がどちらもショートサイドの席で、できれば日曜日の夜公演のロングサイドのチケットがほしかったため、大阪行きの新幹線内で機材開放席の先着販売にチャレンジしようとしたが、ちょうど東海道新幹線で神奈川〜静岡のあたりを移動しており、山が多くトンネルをたびたび通過するエリアであるため電波環境が頗る悪く、普通に敗北した。が、友人が無事に勝ち取ってくれた。友人はリセールでロングサイドのチケットを確保していたのだが、やはり持つべきものは狂いのオタクの友達である。

山梨公演では、最寄り駅から会場までのバスが往復ともに各回3便しかなく、きびしい戦いだった。最終便は詰め込まれすぎて積載量大丈夫ですか?というくらいだったし。そんな人がいっぱいいるバスの車内で我々が何を話していたかと言うと、BEYONDのキャストがアイドルグループだった場合のメンバーカラーについて真剣に議論したりしていた。オタク、ない話を真剣に議論しがち。

山梨公演でたしか初めてショートサイドの席になった気がする。うち1公演はかなり前方だったので、何が起きたかと言うと、カルメンの今井遥さん(タンバリンver.)を至近距離で浴びることになり、今井遥さんに恋に落ちてしまった。今井遥さんを見る時の感情って、およそ「恋」じゃないですか?今井遥さんを見てときめきを覚えないのはたいそう難しいと思う。
今井遥さんは「可憐」が人の形になったような方なのだが、一方でものすごいスピードでリンクを駆け抜けていくというギャップがある。好きです。こうして私は今井遥さんリア恋になったのだった。完。

なお、不正は一切働いていないのだが、山梨公演で超良席が当たってしまい、悪いことは何もしていないのにひどく肩身が狭かった。この超良席のとき、山本恭廉さんの異常に上手いスピンが目の前で見られて満足だったほか、隣のお姉様方がカプリースでおもむろに扇子を取り出し、超盛り上がっていたのが、浅田真央さんのことが好きな気持ちが全力で伝わってきて良かった。浅田真央さんからも指差しならぬ扇子差しをもらって爆沸きなさっており、こちらまでほっこりした。

山梨公演からの帰り、甲府駅で特急の時間まで時間を潰していたらキャストお二人に遭遇してしまい、心臓に悪かった。友人と2人でしばらくの間、気配を殺しながらやり過ごした。ちなみに友人は姿を認めた瞬間、「なぁちゃんがいる……!」と呟いて180度回転して何もない壁を見つめていたので、気持ちはわかるが逆に不審だった。
さらに特急の時間が近付いたためホームに降りる際も、また別のキャストお三方に遭遇してしまい、同じ特急であることを察した。号車が同じだったら黙って空気と同化するしかないと身構えたが、ホームに降りてから向かう先が異なっていたので号車は離れているようだった。危機一髪。申し訳無さすぎるので、プライベートの演者とは遭遇したくないタイプだ。



栃木公演

この公演は友人と連番する回がなく、完全に一人で赴いたが、日光に行く準備をしながら「一人で恭廉バナーを持って日光まで行くの、私って山本恭廉さんの何なんだ?」という根本的な疑問に襲われた。多分、普通にファンというくくりで良い。内面はもう少し複雑(浅田真央さんを信仰しているし、今井遥さんリア恋だし、松田悠良さんの顔がタイプだし、小山渚紗さんの白鳥を穴が空くほど見つめているし、以下割愛)だが、出力結果は山本恭廉さん強火単推しオタクになっているため、少なくとも客観的には「熱心な山本恭廉さんファン」に見えていることだろう。
実は栃木に行くかギリギリまで悩んだのだが、最低でも1ヶ月に1回はBEYONDを見たいという欲が勝った。迷ったら行く、オタクの鉄則。栃木公演後、ほどなくして千秋楽公演が発表されたので、行かなかったら「行けば良かった」と後悔のあまりのたうち回っていたかもしれない。

3月の立川公演は何故かすべてロングサイドだったため、栃木公演で少し久しぶりにショートサイドから見ることになった。BEYONDはいつどこから見ても最高が約束されているが、選ぶなら個人的にはロングサイドだ。ロングサイドは見たいところが見られて良い。ただ、ショーの真正面はやはりショートサイドなので、ショートサイドも良い。正面のスクリーンがすべて綺麗に見られるのはショートサイドだ。初めて見る人に勧めるなら、ショートサイドだろう。私がショートサイドから見える光景のうち好きなものの1つは、カルメンの闘牛士の歌だ。山本恭廉さん、中村優さん、エルニさんの3人が迫ってくる様が圧巻である。
ほかにも、Say Hey Kidの最後のポーズが近くて正面なのも良い。私は松田悠良さんのお顔がタイプなので、Say Hey Kidの松田悠良さんを正面から浴びると「明日も頑張ってみようかな」という前向きな気持ちになれる。

今回は公演中に、隣の方々がラヴェンダーで「この人だれ?」「分からん」という会話をしており、「今井遥さんです。可憐で美しいですがゴリゴリに滑るのでかっこいいですよね」とオタク早口で割り込みたくなる衝動をなんとか堪えることができた。念は送っておいたので、通じていることを願っている。



新潟公演

紆余曲折の末、4公演すべて行くことになった。
1回の遠征で入る公演は多ければ多いほど、1公演あたりの遠征費が安くなるのでお得だ。オタクは時々、基礎的な算数すらできなくなるものである。
新潟は去年もイコラブのツアーで行ったのだが、1公演しか行われず、またライブ翌日に伊豆でダイビングをする予定を入れており、新潟からすぐに伊豆に移動したため(今考えると相当に気狂い遠征だ)、滞在時間が短く残念に思っていたことから、楽しみにしていた。今回もMGC三菱ガス化学アイスアリーナ以外は特に行っていないが。

友人に「書くべきはBEYOND前後に本業をこなしている異常性だろう」と言われたので記しておくと、私にとってBEYONDは副専攻で主専攻はイコラブなので、新潟公演がある2日間ともイコラブのオンラインお話会があり、なかなかにタイトなスケジュールだった。まず、土曜日に新潟駅についてから10時スタートのオンラインお話会に、駅のテレワークボックスから参加した。テレワークボックスは、出先でオンラインお話会をするときに便利だ。友人には「テレワークボックスに謝ったほうがいい」と言われたが、テレワークボックス側も使われるに越したことはないだろう。日曜日も同じ時間からオンラインお話会があったため、こちらは滞在先のホテルから参加した。オンラインお話会というのは、アプリを利用したビデオ通話で、通常盤CD(1,100円)を買うと1枚あたり約7-8秒話すことができるものだ。何枚積んでいるかは、自分で現実を直視したくないので数えないようにしており、自分でもよくわかっていない。

noteではスケートのことしか書いていないため、アイドルオタクというのは虚偽または過小申告なのではという疑念がある方もいらっしゃるかもしれないが、私は推しメンこと髙松瞳ちゃんにほとんど「すべて」の感想をお話会またはファンレターで伝えているため、改めてnoteに書くことがないだけである。これまでのnoteと大差ない質感および量感の手紙を書いていて、文字がびっしり詰まった便箋6枚のファンレターなどを送っているが、髙松瞳ちゃんは私というオタクが付いてしまってもう6年になろうとしているため、今はすっかり慣れてくれており、ありがたい。日曜日は友人と泊まったツインルームにいたので、必然的に友人の前でオンラインお話会に参加する羽目になったが、「これだけ喋っていたら、改めて書くことはないだろう」という旨の感想をもらった。

ところで私にとってBEYONDのチケット入手は、運と縁と公式リセールと機材開放によって成り立っており、社会人としての「何か」を犠牲にしながらリセールに張り付いたり、機材開放チャレンジしたりしている。新潟公演のある1公演で機材開放席が抽選で当たったのだが、何とショートサイドのセンターブロック、それも2列を引き当ててしまい、ひどく緊張しながら席についた。前方席というのはほとんど居住地先行のはずであるため、「ここは機材開放席で、チケットを不正に入手したりはしていません」と主張したい気持ちがあった。首からボードを下げようかと思ったくらいだ。

首から下げようか迷った、オタクの主張

チケット入手に関して、浅田真央さんに顔向けできないことだけは絶対にしたくないので、公明正大であるよう努めているし、モラルに反するようなことは浅田真央さんに誓ってしていないが、BEYONDというショーおよび特定の演者(山本恭廉さん)に執着しているような結果になっていることに関しては、それなりに人生を恥じている。髙松瞳ちゃんのオタク(オタクの中でもマイナーなオタクの仕方らしい)の時点で恥の多い人生ではあるので、今更といえば今更だ。

ショートサイドセンターブロック前列でBEYONDを見るというのは大変に贅沢な経験だ。バラード第1番を終えた後の浅田真央さんの息遣いまで聞こえてくるようだった。浅田真央さんはすごいことをなんでもないような顔でさらっとこなされる方なので、こちらは感覚が麻痺させられるのだが、バラード第1番直後の浅田真央さんを至近距離で目にすると、やっぱり凄くハードなプログラムなんだなということが分かる。バラード第1番のあと、衣装チェンジを経て幻想即興曲ですぐに出てくるのは、だいぶ意味がわからないなと思っているし、浅田真央さんはふわりとした穏やかな雰囲気を纏った方だが、間違いなく世界で戦ってきたアスリートで、内にガッツを秘めたファイターだということが理解できる。

新潟公演のうちのある公演では、席についたら隣の方が腕組み足組みタイプで、「誰かに連れてこられた人かな」と複雑な気持ちでいたが、周回で「真央ちゃーん!ありがとう!」と叫んでいらしたので、なんだか私まで嬉しくなってしまった。よく見たら態度がよろしくないのではなく、寒かっただけのようだった。
たしかに新潟の会場は驚くほど寒く、私も前日に浅田真央さんのインスタストーリーを見ていなかったら凍えていたと思うくらいだった。地元の方(推定)の「ありがとう!」ってすごく良くないですか?浅田真央さん新潟に来てくださってありがとうございます。私は新潟県に縁もゆかりもありませんが……。

この新潟公演でまぁまぁ久しぶりに友人と連番し、友人が山本恭廉さんのことをずっと見ていることに気が付いた。いついかなる瞬間も、山本恭廉さんのことを常に視界のセンターに置いていた。本当に山本恭廉さんの演技が好きなんだなと思ったし、我が身を省みることになった。なぜなら、私もイコラブの現場で髙松瞳ちゃんに対してまったく同じことをしているからだ。髙松瞳ちゃん本人にも、そのようなことをしているオタクは「目立つよ」と笑いながら教えてもらったことがあるが、本当に目立つんだなと実感した。やめられないが、反省はしようと思う。
連番したといっても、新潟公演中は連番→単番→単番→連番で全公演ではない。各地で分裂したり結合したりしているバナーに対して、何か思われているのかは気になるところだ。何も思わないでいてほしい。

ちなみに、推しメンこと髙松瞳ちゃんはご親族が新潟にいらっしゃるため(SNSで公開済みの情報)、ゴールデンウィークに髙松瞳ちゃんが新潟に行っており、事前にオンラインお話会で新潟のおすすめを聞いたところ「お刺身とお米!」と教えてくれたので、夜は友人と海鮮系居酒屋に繰り出した。私と友人は何度か飲みに行っているが、その度に控えめに見積もっても7割はBEYONDの話をしている。話しても話しても話題が尽きなくて怖い。このままでは、老後にデイサービスで毎日BEYONDの話をして呆れられてもなお話し続けてしまう気がする。友人とBEYONDの話をしすぎており、どこでどの話をしたのかはかなり曖昧だが、たしか「浅田真央さんがファイターすぎる」「山本恭廉さんのスピンは異常に上手い」「今井遥さんはパワフルなのに儚いし、儚いのにパワフル」「柴田嶺さんのヘアスタイル、常に刈りたて!って感じ」というような話だったと思う。

新潟公演の帰りも、新幹線に乗りながら相変わらずBEYONDの話をしていた。何度見ても毎回「浅田真央さんがすごすぎる」「今原実丘さんの特大スマイルが良い」「小山渚紗さんの白鳥が素晴らしい」というようなことを話している。新潟公演の2日目は田村岳斗さんのお誕生日ということで、お祝いや田村岳斗さんからのコメントがあった。田村岳斗さんははちゃめちゃに顔が良く、ジャンプの着氷ぢからがすごいスケーターだが、話し出すとボケたがりらしく、コメントでも大ボケをかましており、その田村岳斗さんのボケに合わせて山本恭廉さんが吉本新喜劇ばりのズッコケを見せたくだりについて長々と話し合ったりした。その他にも、「カルメンで山本恭廉さんが小山渚紗さんを下ろす時、かなり真剣な表情になる」という世界で我々以外にこの話してる人がいるのか分からないマイナー話題で死ぬほど盛り上がった。楽しいショーはやはり安全が第一ということだ。



愛知(モリコロ)公演

もともとはそもそも愛知公演に行く予定はなかった。なぜなら私は「Sustainable BEYOND Goals(SBGs=持続可能なビヨンド目標、ない言葉)」を目指して1ヶ月あたり1箇所までと決めており、宮城に行くことは決めていたので必然的に同月の愛知は候補から外していたからだ。逆に言えば、1ヶ月に1箇所は行かなければ満足できない体になってしまったとも言える。しかし、愛知公演の次の宮城公演の次、立川公演が千秋楽になることが発表され、気がついたら4公演分のチケットがあった。BEYONDでは頻繁にそういうことが起こる。チケットは増えるし、残高は減る。怪奇現象だ。

愛知公演の直前には、爪をアイガットの浅田真央さん衣装風にした。
ネイリストさんにBEYOND公式インスタの写真を見せて、「赤と赤チェックをベースにこんな感じのイメージで」と雑なお願いをしたらこうなった。想像してたよりも数倍衣装に似た仕上がりになって、かわいい。私は爪が軟弱すぎて頻繁にはネイルができないのだが、千秋楽が決まった勢いで概念ネイルがやりたくなってしまった。仕事には向かない派手さだが、普通にこれで顧客とミーティングしたりしている。今のところ何も言われていない。立川千秋楽公演期間中に、別のBEYOND概念ネイルに変えてもらう予定だ。

この愛知公演では東邦ガスの協賛があり、東邦ガスのクリアファイルがもらえたりCMが追加されたりしていた。東邦ガスの浅田真央さんのCM、あまりにもかわいい。BEYOND開演前、知らないCMが流れてるとよく見てみたら、東邦ガスだった。「それだけじゃ、ないんだな〜」のところがかわいすぎるので4公演とも真剣に拝見した。

愛知公演では、カルメンとチャルダッシュでの山本恭廉さんのアピールポジションに近い位置で見る機会があり、最前の親子(多分)が山本恭廉さんにめろめろになっている様を観測し、健康に良かった。また、相変わらず今原実丘さんは特大スマイルがかわいく、笑顔が顔から溢れているくらいでキュートだったし、小山渚紗さんはどこからどう見ても白鳥だった。
なぜか愛知初回公演のシェヘラザードで突然「浅田真央さんってなんてすごいんだ」の感情になり、n回見てるショーなのに泣きながら見ることになったりもした。泣くならどちらかというとバラード第1番に思えるが、こちらも泣こうと思って泣いているわけではない。

有言実行ということで、前回記事で考えたハッシュタグを責任を持って自分で使うことにしたが、なんとうっかり小山渚紗さんご本人の目に入ってしまったようで、いたたまれない気持ちになった。変なハッシュタグを生み出して申し訳ない。見つかりたくないならフルネームでツイートしなければいい話なのだが、好きな演者はフルネームまで美しく感じるし、好きな演者の話はフルネームでしたいからしょうがない。小山渚紗さんの白鳥は、マジのマジですごいので皆さん絶対に見てください。

私は土曜日の昼公演から、友人は土曜日の夜公演からの参加だったため会場集合だったし、別々にホテルも新幹線も手配したため、会場と名古屋駅〜会場の移動くらいしか一緒にいる時間はなかったが、愛知公演がショーに関係のない遠征部分が一番楽しかったので、愛知および愛・地球博記念公園のことが好きになった。

ある公演で友人と一緒に入場したとき、山本恭廉さんあてのフラワースタンドのボード(宛名と送り主が書かれている立て札)が剥がれかけていた。友人が頓狂な声を出しながら修復を試みていていて、善行ではあるかもしれないものの、一瞬他人のふりをしようか大いに悩んだが、私は厚い友情の持ち主を自称しているのできちんと見守った。友人と私は学生時代からの知り合いなのだが、同じ学舎に通っていたというだけでオタク哲学(例えばバナーを出すタイミングなど)が限りなく近いのが怖いなと思っているし、本人にも伝えたところ「前世も一緒にオタクしてたかも」と言われた。このままだと来世も一緒にオタクしてるのかもしれない。

昼公演と夜公演の間、愛・地球博記念公園内の施設でいつもと同じように友人とBEYONDの話をしながら休憩していたが、今年1番笑ったなというくらい面白いことが起こり、今から思うとあまりに笑いすぎてうるさかったと思う。書ける範囲の話だと、「アリーナの前方席に入ると、キャストのピアスホールまで見えて良いよね」という話をしたら、友人がチャウチャウ(犬種)みたいな顔ですごい勢いで頷いていた。

いらすとやのチャウチャウ

全力で同意してくれているのは伝わるのだが、いかんせん顔がチャウチャウすぎて面白かった。友人には普段はチャウチャウっぽさは特にないので、突然チャウチャウになった友人に笑いすぎて涙が出た。

ほかにも、「何のワードで検索したら、お互いのnoteが出てくるのか」という遊びをしてみたら、どう考えても多方面に謝罪したほうがいい検証結果が得られたり、2023年にもなって過去の衝撃の新事実が発覚したりして、とにかく笑い転げてしまった。そのワードをここに記すとまたこの記事が検索でヒットしてしまいかねないので、書けないのが残念だ。
面白い話だけでなく、「浅田真央さんは存在が朝ドラヒロインだから、将来的に朝ドラになるに違いない」だとか、「なぜ自社はBEYONDのスポンサーではないのか」だとか、他にも真面目な公演の感想を話していたらあっという間に時間が過ぎたので、誰かと行く遠征もいいものだなと思った。

また、愛知公演でも例に漏れず(オタク哲学上の理由により)恭廉バナーを持っていたが、恭廉バナーを持っていると起こることの1つに、前後左右の人がめちゃめちゃバナーを見てくるというのがある。横目でちらっと見られることもあれば、がっつり覗き込まれたり、振り返って凝視されたりすることもある。当初は思うところがないでもなかったが、もうすっかり慣れた。なんなら「山本恭廉さんのこと、覚えて帰ってくださいね」という気持ちでいる。愛知公演でもこちらが吹き出しそうになるくらい思いっきり覗き込まれたが、オタクのバナーを見ている暇があったら、拍手したりスケーターを見たりする方がよっぽど有意義だと思うので、どうかこちらのことは気にしないでほしい。

愛知公演も充実のうちに帰路につき、名古屋までの地下鉄で「立川公演でどのグッズを買うか?」ということについて話し合った。欲しいものは購入済みだが、予備含め最後に何を買っておくかは悩みどころだ。我々の共通見解のひとつに、「ブランケットは余っているからいらないが、BEYONDのブランケットはほしいから悩む」というのがある。すでにいくつもブランケットは持っているためブランケットそのものは全く必要ではないのだが、BEYONDのブランケットはほしい。友人は「BEYONDのブランケットほしいから、ブランケット捨てようかな」と言っており、私も思わず「なるほど」となってしまった。本末転倒。実際、古いブランケットを捨ててBEYONDのブランケットを買うというのは選択肢の1つだ。
ほかにも友人は「家にパンフレットが3冊あったから、合わせるためにプログラムをあと2冊買わなきゃいけない」と意味の分からないことを言っていた。オタクなので気持ちは分かってしまうのだが。いつか記憶が薄れても、ものがあれば確実に「あった」ことだけは忘れないし。BEYONDのプログラムは写真もたくさんあるし、内容も充実しているので、これからBEYONDを見に行く方、まだお持ちでない方は絶対に絶対に絶対に絶対に買っていただきたい。



宮城公演

1公演だけにしようと思っていたにも関わらず、最終的に3公演行くことになった。学習しないオタクである。
日曜日の公演は1週間くらい前にやっと行くことを決めたが、迷っているときに「誰か私を止めてほしい」と言ったら友人に「いないんだよな、止める人が」と言われた。たしかに。どちらかというと我々は迷えるオタクの背中を蹴っ飛ばすタイプだし、止められたところで止まれないのがオタクだ。

行きの新幹線でも友人と「浅田真央さんがあまりにも軽く2Aを跳ぶから、もしかして私たちでも跳べるのかも?という錯覚が起きる」「柴田嶺さんはいつ見ても王子顔」「山本恭廉さんは芸術家」などともう何回目になるかわからないBEYONDの話をした。行きの新幹線からすでにBEYONDでは最後の遠征になるのが寂しかった。

土曜日の昼公演の開演直前、知らないアナウンスが流れ出し、「カメラが入ってるから、そのアナウンスかな」と悠然と構えていたところ、まさかの中村優さんの体調不良による休演の案内だった。血の気が引いた。情勢を考えると、これまで体調不良による休演が1度もなかったのが奇跡みたいな話なのかもしれない。そこから開演までの記憶はあまりないが、Pick yourself upはどうなるんだろうとかそういう話をした気がする。

そのPick yourself upだが、普段中村優さんがジャンプをするターンで山本恭廉さんが怒涛のコンビネーションスピンで繋いでおり、激アツだった。私は初めてBEYONDを見る前、友人に「山本恭廉さんの幻想即興曲を見ろ」「山本恭廉さんは非凡スケーターだから」ということだけを吹き込まれて臨んだが、見た後に「なんかスピンが異常にうまくない?」と聞いたくらい印象的だったので、中村優さんのジャンプ(中村優さんは #beyondのジャンパー なだけあって綺麗で安定したジャンプが売り)に代えて山本恭廉さんのスピンが選ばれるという事態に、大声で「やっぱりね!!!!」と叫びたくなった。本当に素敵なものは、その分野に詳しくなくても直感で分かるのだ。

この時点で、開演前に感じていた不安のような、それでいて知らないBEYONDへのほんの少しの期待のような、名状しがたい複雑な気持ちははるか彼方へと吹き飛んでいた。が、Pick yourself upの最後のポーズが田村岳斗さんと山本恭廉さんの背中合わせになっているのを見た瞬間、「ヒッ」と声を上げてのけぞってしまった。迷惑。機材開放席だったので真後ろに席がなくて、助かった。
オタクは背中合わせが好きだし、中村優さんと山本恭廉さんも完璧な「シンメ」で良かったが、田村岳斗さんと山本恭廉さんもそれとはまた違った正反対で完璧な「シンメ」だ。俺たちは地元じゃ負け知らずってわけ、これが好きじゃない人間いないだろ。良すぎて頭がおかしくなり、「ヤマトヤマモトシンメ」と勝手に名付け、最終的に私は「ヤマトヤマモトシンメの地に私の墓を建ててほしい」と言い出すことになる。このヤマトヤマモトシンメver.のPick yourself upはイレギュラーパターンなので、世に残らないかもしれない。このままでは「トトロいたもん」のメイちゃんになってしまう、と思っていたら写真に残った。ヤマトヤマモトシンメは、あります!

Pick yourself up後、良かったねという気持ちでふと隣の友人を横目で見たら、友人は感動のあまり泣いていた。比喩ではなく、本当に泣いていた。良いオタクなんだよな、愛が重いが。
Pick yourself up以外にも細やかな演出の変更がたくさんあり、いつの時点で中村優さんの休演が決まったかは分からないが、みなさん対応力がプロフェッショナルでさすが浅田真央さん率いるカンパニーだなと思った。私がBEYOND初見だったら、ほとんど違和感はなかったと思う。

本編終了後、いつものごとくいそいそと恭廉バナーを準備していたら、やけに視線を感じていたところに、隣にいらした方が「もしかしてTwitterやられてますか?」と声をかけてくださった。私はアイドルオタクアカウントしかないため、友人のフォロワーかフォロワーのフォロワーくらいの方かなと思い存在感を消していたが、その方に「文章がおもしろくて」と言われた瞬間、友人が「あ、○○(筆者)のことじゃない?」と急に水を向けてきた。「文章がおもしろい」で友達を売るな。動揺のあまり塩対応になってしまったことを密かに申し訳なく思っている。私もオタク作文(自分の書くnoteのことをこう呼んでいる)の者だが、友人も近しい文章を書くので、文章がおもしろいだけでは特定できないはずだ。しかし、「どっちもわかります!」と言われたのでかなり恥だった。たしかに2連で恭廉バナーがいて、私か友人のどちらかのnoteを読んだことがあれば、特定は容易な気がする。あのとき声を掛けてくださった方、見ておいでだろうか。オタク作文の主がどんな人間だったかは心にしまっておいてください。恥の多いオタクたちなので……。ちなみに友人はその方に「タカくん良かったですね!」と言われた時、「ありがとうございます!お前は誰だって感じですけど!」と元気よく返事をしていた。

友人は宮城公演は土曜日のみで、我々2人で連番するのは昼公演だけ、夜公演は別々に見る予定だった。友人は夜公演は知人と一緒に見るとのことだったため、昼・夜公演の空き時間を確認したところ、「エアウィーヴのマットレスで仮眠できるくらい時間あるよ」と言われた。これは、BEYONDでスケーター全員にエアウィーヴ様様様からパーソナライズされたマットレス2種がご提供されていることに由来する、日常で使えないBEYONDギャグだ。そんなわけで仙台駅まで戻って、仙台っぽいものを食べてから夜公演に向かった。

宮城公演の会場では、入場してすぐの壁にBlu-ray等の宣伝広告が貼ってあった。それを見ながら、「浅田真央さんは内側からなにか光るものがじゅわっとにじみ出ている」「BEYONDのCD、自分の葬式で流したいから買わないと」などと会話してから別れた。

夜公演後、仙台駅のカフェで友人と合流し、その日お互いが見たものについて、幻覚ではないことを確認し合った。「田村岳斗さんがいる安心感たるや」という結論に落ち着き、帰宅する友人を「来週、立川で会おう」と見送ってからホテルに帰った私を待っていたのは、本業である。この日は夜にイコラブのオンライン個別サイン会があったので、仙台にいるなんておくびにも出さずに参加した。実は、すでに浅田真央さんが好きなことは髙松瞳ちゃんに大バレしているので、仙台にいることがバレても特に問題はないという事実がある。

翌日、これが遠征先で見る最後のBEYONDかという感傷を抱えながら、最後の宮城公演を見た。中村優さんの休演については、最後まで試行錯誤している様子が伺え、常に前を見て上を見て真っ当にエンターテイメントしているBEYOND、本当に最高だなという気持ちになった。BEYONDに裏切られたりがっかりさせられたことは今までもないし、これからも絶対にない。BEYONDによくない所があるとしたら、「ノンストップ90分のショー」という謳い文句を訂正しない所くらいだろう。90分では終わっていないからだ。前にショー中にリンク備え付けの時計が見えたことがあったが、カプリースの時点で90分は過ぎていた。
カプリースといえば、いつからか良きところで指笛が入るようになり、上手い人がいるものだなと思っていたのだが、宮城公演でステージマネージャー(推定)が指笛の主だったことが判明した。スタッフ含め全員で創り上げるショーという感じでいいなと思った。

宮城最終公演は、上手のスクリーンに限りなく近い席だった。スクリーン近くは機材開放席で出がちなので、個人的に馴染み深い位置だ。ここから見える景色はいろいろあるが、絶対にお伝えしなければならないことが1つある。それは、チャルダッシュでの田村岳斗さんのアピールポジションであるということだ。
田村岳斗さん、まず顔がいい。そして顔がいい。なにしろとにかく顔がいい。何度見ても「田村岳斗さん、顔、良」になる。もちろん顔がいいだけでなく、随所にベテランの粋を感じさせてくれる素敵なスケーターなのだが、本当に顔が強い。もしこの先、開演前に「ロングサイドの端か」と残念に思う方がいたとしたら、田村岳斗さんの顔面力ですべて吹っ飛ばしてもらってほしい。本当に顔がいいので、すべて吹っ飛ぶ。

宮城最終公演では、浅田真央さんのとてもとてもキュートなお言葉(会場にいた人のみの特権)が聞けたほか、最後の最後に浅田真央さんと柴田嶺さんがハグをした時、浅田真央さんがなにかおっしゃって柴田嶺さんが感極まっている様子が見え、千秋楽の近付きを感じた。BEYOND、終わらないでほしいが、千秋楽公演を見るのは楽しみなので、複雑だ。



番外編 亀有

新潟、愛知公演を経て、オタクたちは勝手に山本恭廉さんの足腰の健康が心配になったので、友人と2人して「スポーツ振興の神」として名高いらしい亀有香取神社で、これまた勝手にBEYONDキャストのみなさまの足腰の健康を勝手に祈願してきた。オタクは無力なので、神頼みくらいしかできることはない。

足腰健康の絵馬を奉納した

ついでにエアウィーヴ公演の当選も祈願しようとしたが、私は普通に祈るのを忘れた。そのせいか、落選した。忘れなかった友人は当選したので、ご利益があるんだと思う。スポーツ関係で神頼みをしたくなったら、ぜひ詣でてほしい。



立川千秋楽公演に向けて

残すところ、立川千秋楽公演のみとなってしまった。立川は東京にある、ということはBEYONDに興味を持ってくれた友達を呼べるということで、友達を呼べるということは恭廉バナーを持ってもらえるということだ。
すでに何人か来てくれることが決まっている。BEYONDは最高なので、友達が見に行きたいと言ってくれるのはすごく嬉しいし、オタクは好きな演者のバナーは会場内にあればあるだけ嬉しい。恭廉バナーを貸せるだけ用意しているのは友人だが、実は貸しているのは主に私である。狂いのオタクと狂いのオタクがユニットを組むとこういうことが起きる。

楽しみな気持ちとすでに寂しい気持ちが入り乱れているが、一瞬一瞬をまばたきすら惜しんで目に焼き付けたい。

1秒を永遠にする気で挑みます。BEYOND!


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