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ナマケモノなんかじゃない 三 (全七話)(2015/07/04)


第三話 手紙のお返し

この三日間、ナマケモノに関しての聞き込みをしながら市内の端から端まで崖を探してみたけれど、そんな場所はどこにも見つからなかった。

途中で情報をくれたトンビに出くわしたので話を聞こうとしたら、二回目からは油揚げが必要だと断られてしまった。

今日は児童館まで、先生と子供達に話を聞きに行くことにした。たびたびおしょくじくんも遊びに来ているから、子供達は大興奮でおしょくじくんに飛びかかっていった。

先生にお話を聞くと、ナマケモノ宛の手紙が消えてしまったのは本当だったらしい。「その代わり、手紙の置いてあった場所にはまるで手紙のお返しのように、石ころが置いてあったのよ。」

その石ころを見せてもらいたいとお願いすると、「手紙を書いた子が持ち帰ったの。一人は引っ越してしまったけれど、もう一人は、ほらあそこに。」先生は、おしょくじくんのほっぺを押したり引っ張ったりしている女の子を指差した。

その女の子にお願いをして、石ころを見せてもらうことにした。女の子のお家の下で待っていると、女の子は手のひらに収まるくらいの石ころを大事そうに抱えて持って来てくれた。

「ずっと宝箱にしまってあるの。七夕の夜にだけ、出して窓のところに置いているんだけど、ナマケモノさんは来てくれないの。」と、女の子は寂しそうに言った。

おしょくじくんが触らせてもらうと(僕が触ろうとすると難色を示されたので)こことここ、質感がちがう。と、その部分を見せてくれた。(第四話に続く)

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#ナマケモノなんかじゃない #イラスト #物語

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