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異世代ホームシェアを知っていますか?

みなさん、異世代ホームシェアをご存知ですか。以前、若者と一人暮らしのシニアが一緒に住むのはどうだろうと考えたことがありました。それをきっかけに実際に検索してみたら、異世代ホームシェアが存在していたのでシェアしたいと思います。

■若者とシニア世代が同居するのはどうだろう?

私が、異世代ホームシェアがあったらどうだろうと思ったきっかけは、
イギリスのニューキャッスルが舞台の映画「わたしは、ダニエルブレイク」を見た時です。

以前に、"もうイギリスのおっさんたちはビールを飲まない"という記事で「ワイルドサイドをほっつき歩けーハマータウンのおっさんたちー」という本を紹介したのですが、その時に紹介されていた映画です。

この映画は、心臓病を患いながら貧しい暮らしをしている59歳のダニエルブレイクと、高卒で2児のシングルマザーが、お互いに支え合い絆を深めていくストーリーです。

ダニエルは大工でしたが、働かないようドクターストップがかかっていました。それにもかかわらず、生活保護の受給資格の基準に満たず、生活保護を受けられずにいました。そこで、就職活動をして求職中の人向けに給付される支援を受けることを国の相談所に勧められます。

一方、その相談所では役所の事務員と揉めている女性「ケイティ」の姿があり、ダニエルはそんな彼女を助けます。ケイティはロンドンのホームレス用の住宅施設から引っ越してきたばかりですが、住み始めたところはボロボロのお家。大工のダニエルは長年の知識やスキルを活かして部屋を直し、暖房が使えない家を温める方法を伝授します。

またダニエルはというと、補助金を受けるための手続きが全てオンラインのため、経験のないダニエルは手こずります。しかし、近所の若者がパソコンの使い方を教えたり、申請の手助けをしてくれるのです。

この光景を見て、若い人とシニア世代が一緒に住むことで、お互いに助かることがたくさんあるのではないかと思いました。

■日本の異世代ホームシェアの現状

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日本での異世代ホームシェアは始まったばかりで、NPOなどが中心となり事業を展開しています。

一人暮らしで空き部屋を探している学生と、一人暮らしで空き部屋を貸してくれる高齢者をNPOが募集する仕組みです。その後、NPOが両者をマッチングし、双方の意見を聞いて、希望がお互い合えば同居がスタートします。異世代ホームシェアは、日本が抱えている様々な問題を解決できると注目されています。

例えば、多くの若者が賃貸料が高いために、やむを得ず実家暮らしを選択するケースが増加しています。また、一人暮らしの高齢者も増え、快適に生活することが困難になるケースも増えています。

とはいえ、異世代ホームシェアはまだ勢いがあるように見えません。異世代ホームシェアのコーディネートをしているウェブサイトをいくつか訪問しましたが、高齢者のホストが足りていないように伺えました。

■異世代ホームシェアが発達している国、フランス

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異世代ホームシェアは1980年頃からアメリカとスペインで試されており、
近年、欧州を中心に再び注目され始めているといいます。
参考:One solution to two big social problems(BCC NEWS)

BBC(英国放送協会)のニュースで、実際に異世代ホームシェアをしている78歳フランス人のおばあさん25歳の韓国人留学生にインタビューした記事がありました。

韓国人留学生の「ミキョン」は建築家志望で、世界で最も美しい街並みを持つパリに住みたいという願望がありました。これを異世代ホームシェアにより、たった120€(15,000円)で、凱旋門までたった30分の場所に住むことが可能になりました。

ミキョンはホストであるおばあさんの「モニーク」の様々な家事を手伝います。スーパーへ買い出しに行った時に荷物を持ったり、お皿洗いをしたり、そしてリモコンの全てのボタンの用途がわかる説明書を作成したりします。

ミキョンは、これらの家事に対し「大したことない」と言います。「これが生活だし、もし私が1人で住んだとしても自分で皿を洗わないといけないし、ゴミも出さないといけない。ここが、本当に自分の家のように感じ、居心地がいいです
「夜に家に帰るたび、夕食の準備するときに、大学の授業で習った曲、例えばシャンゼリゼとかを流すの。そしてモニークと一緒に歌うんです」

モニークは、ミキョンが教えてくれたイギリスのダウントンアビーというドラマシリーズに大ハマりしているそう。「色々お互い共有しているから、一緒にいると楽しいわ。いつも一緒に座ってテレビを見てるわ」とモニークは言います。

この2人の同居のエピソードを読み、なんだか微笑ましく、温かい気持ちになりました。

世代間格差が広がり、両者間の溝が深まっている中で、お互いが好きなものをシェアし共有することはとても大切なことだと感じます。

異世代ホームシェアがどんどん広がることで、こういった機会が増えることを期待したいと思います。

■異世代ホームシェアのこれから

前述した、イギリスでの行政手続きの前面オンライン化が日本でも現実的になっています。また政府は「2025年までに世界標準の40%」を掲げ、キャッシュレス社会の推進に力を入れています。それに伴い、今まで利用したことがなかったシニア世代は置いてけぼりになる可能性が高まります。

一方で、学生や新社会人など若年層の人たちは、家を借りることに苦労しています。都内の賃料は徐々に上がっています。

しかし、一緒に同居をすることで、若者はお年寄りの生活を助けることができるし、若者は高い値段で部屋を借りることなく自立した生活を始めることができます。

一人暮らしをしていて猫の手も借りたいが、息子や娘に頼るのは気が引けるという方は、検討してみる価値があるかもしれません。気になる方は、異世代ホームシェアをコーディネートしているNPOに話を聞いてみてください。

参考:行政手続きオンライン化 首都圏、住民獲得へ先進性PR(日本経済新聞)

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