謎の黄色いワンピースが届いた話 〜姉について〜

家に帰ると、宅配ボックスに黄色いワンピースが届いていた。

ワンピースのこと

開けみてると、
「より美しい自分に出会えます」という英語を直訳したような文言と、難しい漢字が1文字だけ書かれた真っピンクのラベル。
宗教の勧誘か送り付け詐欺だ！と思った。

ショップの名前も書いていない。
宅配代行業者が送ってきている模様。

しかも、宅配ボックスに入れましたよーの紙に「遅くなり大変申し訳ございません」と珍しい謝罪文が書いてある。大変申し訳なさそうな字で。
こんな丁寧な配達員さんいる？？何か圧力をかけられて怯えているの？

30分ぐらいいろいろ調べた。
「黄色　ワンピース　宗教」「楽天　頼んでない　詐欺」「〇〇(運送代行業者) 送りつけ」、、、

調べていくうちに楽天で同一商品を突き止め、宗教ではないことがわかった。
ただ、明らかに私が着る系統のワンピースではない。

今の時代、頼んでいない物が家に届いた場合破棄してしまっても全く責任を問われないらしい。
(なんか最近法改正されたらしい)
ずっと家にあるのも不気味だし、そのまま捨ててしまおうと思った。

ただ、妙にワンピースがワクワクリゾート感(逆にいうとリゾートにしか着ていけないほど鮮やか)なのが気になった。

姉のこと

程なくして、2つ上の姉が新婚旅行で宮古島に行くことになったいたことを思い出す。
タイミングよく次の休日に姉に会う予定もあった。

姉にラインする。
「変なワンピース届いて、めっちゃリゾート感あるけど宮古島に来てく？
調べたら勝手に破棄してもいいんだって」

そして、送りながら思い当たった。
これは姉が注文したワンピースだ、、、、！

遡ること2週間ほど前

姉から「新婚旅行にネイルして行きたいんだけど、お店に行く、ネイルシール貼る、マニキュアで我慢する、どれがいいと思う？1週間で取らなきゃなんだよね」とLINEが来た。

私は最近セルフネイルにハマっている。
美容のコンテンツも詳しくはないが好きなので、姉はよく美容系の相談を私にしてくれる。ファンデーションなくなりそうなんだけど次買うの何がいいと思う？とか、今度会ったとき前髪作って〜とか。

東京に寄る予定だと言うので、家でネイルしてあげようか？と申し出たところぜひお願いしたいとのことで、新婚旅行前に会うことになったのだ。

その約数日後、
「宮古島に着て行きたいワンピースがあったんだけど家を出るまでに届かない可能性が高くて、〇〇(私の名前)ちゃんちに届けてもいい？」とのこと。
(わたしの家族は私をちゃん付けで呼ぶ。珍しい方だと思うが、ちゃん付けで呼ばれる方が私っぽい感じもして気に入っている。)

私を「あてにしている」姉

姉にはこういうところがある。

それは信頼している、と言うほど素敵なものでもないし、甘えている、と言うほど可愛らしいものでもない。
ただただ、私と身内関係だという事実に胡座をかいて「あてにしている」のである。
こういう関係の兄弟、姉妹は多いんじゃないだろうか。

姉の依頼が思い当たって、安堵から逆にテンションが上がってしまって、
すごい勢いで「宗教かと思ってめっちゃいろいろ調べたわ！びっくりした〜！」とLINEで捲し立てたのだが、
姉からは「よかったー捨てられなくて。よろしく〜」と二言。

こんな姉だけれど、私たちは仲が良い。
お互い「大好きなお姉ちゃん」とか「可愛い妹」とか口にする事はないけれど、お互いちゃんと、ちょっと好きだ。
連絡を断てば一瞬にして関係が切れてしまうような世の中で、きっと死ぬまで嫌でも関わり続けるであろう人間がこの世に存在しているという事は私をとても安心させる。

いつか私が結婚式をする時が来たら、
そんな想いをちょっとだけ口にしてみてもいいかなと思う。