価値より好き

BRUTUSを買った。「珍奇昆虫」という特集が気になったからだ。ぱらぱらと中身をめくってみると、どれもこれも確かに珍奇としか言いようのない姿の昆虫たちが並んでいた。ド派手な色やフォルムに進化する運命を辿ってきた昆虫が何種類もいることに驚く。類似のない完全なオリジナリティなんてないんだろうな、と思う。

「珍奇昆虫」がどれだけ浸透している呼び方なのかは知らないが、うまいネーミングだなと思った。特徴がわかるし、価値がありそうなジャンルだなと感じる。

価値は良くも悪くも人を動かす。昆虫でいうなら、生態などの研究が進める大きな原動力になるだろうし、逆にめちゃくちゃで過剰な採集にもつながっているのだろう。保護する必要があるくらい希少な昆虫がメルカリなどで売買されていた、なんて投稿をSNSで見たことがある。売る方も買う方も、少し考えたらこれダメじゃね?ってわかると思うのに、それを吹っ飛ばしてしまうくらい価値は人を狂わせるのだろうか。価値ってこわいな。

そういえば、みうらじゅんの『ない仕事の作り方』で、もともと価値がなかったものに価値を見出して、それに名前を付けて仕事にする方法が紹介されていた。みうらじゅんの作り出した価値には恐ろしさは感じない。それはきっと、悲しむ人の姿が想像できないからだと思う(私の貧弱な想像力では無理だった)。

私は価値より好きのほうがいいな。

まとまらなくなってきたので、この辺で。全然関係ないけれど、生き物を標本にするってすごくないですか。何かしらの癖を感じる。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?