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授業デザイン#01【3年国語】

身に付けさせたい力

 小学校学習指導要領解説国語編(平成29年告示)の第3学年及び第4学年では、次のような説明がなされています。

知識及び技能
⑴言葉の特徴や使い方に関する事項

オ 様子や行動,気持ちや性格を表す語句の量を増し,話や文 章の中で使うとともに,言葉には性質や役割による語句のまと まりがあることを理解し,語彙を豊かにすること。

思考力、判断力、表現力等
B書くこと

⑴指導事項
ア 相手や目的を意識して,経験したことや想像したことなどから書くこ とを選び,集めた材料を比較したり分類したりして,伝えたいことを明確 にすること。

オ 書こうとしたことが明確になっているかなど,文章に対する感想や意 見を伝え合い,自分の文章のよいところを見付けること。

⑵言語活動例
ウ 詩や物語をつくるなど,感じたことや想像したことを書く活動。

C読むこと
⑴指導事項

オ 文章を読んで理解したことに基づいて,感想や考えをもつこと。

⑵言語活動例
ア 記録や報告などの文章を読み,文章の一部を引用して,分かった ことや考えたことを説明したり,意見を述べたりする活動。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説国語編 平成29年7月 文部科学省

こういった力が求められています。そこでこれらの力をつけるために…

クイズ詩

の授業をデザインしてみました。
 そして最初に構想してからかなり時間が経ちましたが先日実践することができました。児童の反応もとても良かったし、私自身もワクワクするような実践だったので、共有させていただきたいと思います。
 授業の流れは以下のようになります。

①雲の写真を撮りに行く

 まずは児童にいきなり「今から雲の写真を撮りに行くよー」と声掛けをして、タブレットPCを持たせ、全員でグラウンドに飛び出しました。

 ただ当日は信じられないくらいの晴天で雲一つもありませんでした。残念。「やっぱり帰るぞー」と言ってすぐさま教室に戻りました。

 ですので帰ってきてからは、Canvaで架空の雲画像(とにかく適当に!)を生成させました。わがクラスはだいぶCanvaの素材の扱いに慣れてきているので、15分くらいで完成しました。この時点でまだ授業のねらいは伝えておりません。

例えばこんな感じの雲画像を作成したとします。私には焼いて膨らんでいるモチに見えました。

②全員の写真を集める

 児童らが作った雲画像を一か所に集めて相互閲覧ができるようにしました。本来だったらTeamsに写真を投稿させて相互閲覧しようと思っていたのですが、今回はCanva上にて作成した雲画像の相互閲覧をしました。

③パレイドリア現象を刺激された写真を選ぶ

 雲画像を閲覧していると、「この雲モチみたいだね」など、児童は自然発生的に、雲を何か別のものに見立てて盛り上がります。この雲の形から動物、顔、何らかの物体を思い浮かべてしまうこと、これがパレイドリア現象です。そして自分の雲画像でも、友達の雲画像でもいいので、一番パレイドリア現象を刺激された写真を1枚だけ選ばせます。
 ここでようやく授業のねらいについて説明します。

④写真をもとに作詩する

 児童には今から選んだ雲画像をタイトル(例 おもち)とした詩を書いてもらうことを伝えました。同時に、選んだ雲画像は挿絵として詩に添えることも伝えました。タイトルについて、感じたこと、心が動いたことを詩として表現させます。自分がなぜそう見えたのかを文章に表そうとするだけで詩が出来上がるので、比較的どの児童にとっても書き始めやすかったようです。

⑤タイトルを伏せたまま公開する

 そして一番大切なことなのですが、詩を作っている際に、タイトルは誰にも見せてはいけないというルールを付け加えました。さらにタイトルに直接つながってしまいそうな表現も必ず隠させました。例えば…

「モチ」
白くてふわふわ
モチモチしていて
よくのびる

 という詩を作った児童がいたとしたら

「□」
白くてふわふわ
モチモチしていて
よくのびる

 タイトルをふせるので、このようになりますが、モチモチしているという表現があまりにもタイトルそのものすぎるので

「□」
白くてふわふわ
□していて
よくのびる

といった具合です。
 そして読んだ人にタイトルを当ててもらえたら、結果としていい文章が書けているねってことになるから文章をどんどん工夫していこう、と声掛けをしました。ここから児童はみな表現を工夫しながら、詩を作り上げていきました。
 これでクイズ詩の完成です。完成したクイズ詩は、自分で選んだ雲写真を添えてクラスに公開しました。
 ちなみに私の場合は、Canvaで詩を作成させ、雲写真も挿入し、閲覧リンクを共有して、全員が読める状態にしました。

⑤友達に読んでもらいタイトルを当ててもらう

 いよいよ書く作業も終わり、読む作業に入ります。読む側としては、ただ友達の詩を読むだけという活動ではなく、読みながら書かれている表現と写真に目を向け、感性を働かせながらタイトルを考えていかなければなりません。この活動のゲーム性も相まって、全員が友達のクイズ詩をどんどん読み進め、表現内容からタイトルを予想します。ときには「どっちかなー悩むなー」なんて悩みつつも楽しんでいる児童の姿が、たくさん見られました。
 作品を読み終えたら、MicrosoftFormsを使って、読んだ児童の作品のタイトルを入力させました。わずか20分足らずで読む時間が終了したのですが、友達のクイズ詩を読んで、タイトルを予想し、答えを送り、また次の友達の作品へ…と短時間で非常に活発に動いていました。
 最後にFormsを集計し、何人くらいの児童がタイトルを当ててくれたか、つまりどれだけ相手に伝わる詩を書けたか、正答率で可視化させました。

 以上が今回の授業実践となります。今までは、詩の読み比べといったら、ノートの回し読みだったり、発表形式で音読させたりしていました。今回、雲を活用したクイズ詩を作ることで、書く方も、読む方も、学習指導要領に明記されている身に付けさせたい力を意識させながら、楽しく学習を進められることができました。


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