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ゲームシナリオ原案『人械(仮名称)』

―プロローグ―

僕たちは生きている間何万、何千人という

数え切れないほどの人々との出会いやすれ違いがある。

その中で別れる人もいればそうではない人もいる。

ただ、そうした人生で奇跡的な―あるいは運命的な出会いは

人に限らずあるだろう。

これから話すのは僕が何気ない出会いから

奇跡的で運命的な体験をする物語。


―第1話―

僕は大学の二回生。

当時一回生だった僕は縁もゆかりもない機械創造幽霊研究部とかいう

まるで筋の通らない名前のサークルにひょんなことから入ることになった。

そこで出会った先輩方から先ほど、どうもご丁寧にメッセージアプリと

電話の両方で連絡をよこしてきた。

内容はこうだ。

「暇だろ?少し付き合え。来なきゃ粉砕機にぶち込むぞ。」

なんて独善的な。

僕は独裁国家に生まれた覚えはないぞ。

と言いつつも断ったら粉砕機にぶち込まれるのは冗談として

本当に何をされるかわからない。

仕方なく僕は今、「居酒屋」と黒字で書かれている赤提灯に挟まれた

青い暖簾をくぐろうとしている。

ガラガラガラと戸をスライドする音が鳴る。

「いらっしゃいませ!お客さんおひとりですか?」

あたりを見渡すと先輩らしき女性とその友人らしき女性が目に入った。

「あそこの連れの人です」

と先輩らがいる席を指さす。

「かしこまりましたあ!では席へどうぞ」

「どうも」

先輩は僕を見つけるや否やこっちこっちと大きく手招いている。

「よく来た後輩!飲め!」

そういってグイっとグラスを近づけてくる。

僕はそれを丁重にお断りする。

「ちぇー」

といいつつそのグラスを自らゴクリゴクリと飲み干した。

その横で先輩の友人が「ごめんね」と僕に謝罪をしてくれた。

どうやら先輩らはずいぶん前から飲んでいるらしい。

しばらくして、先輩から「なあ、後輩」

と話を切り出した。

「最近変な女が出るらしい。

どうやら人通りの少ない路地裏で一人缶ビールを片手に

妙な事を聞いてくるらしい。

『もし生まれた時から命日がわかっていたら』って

すれ違う人全員に声をかけて同じ質問をしてくるみたいだ。」





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