見出し画像

みどり。




緑に囲まれた
白い石造りの 古い家は
見たことはないのに
懐かしい気がしました

長い廊下が縦横斜め
飴色の階段が縦横斜め
あちこちに走っていて
ぼくも好奇心の揺れるまま
あちこち歩いた気がします

そうして ぼくは
階段の奥の
天井裏みたいなところを見つけました

小さな窓からさしこむ緑の光の下
ぼくは 真剣な表情で
ぼくが ずっと大切だと信じてきたものを
そこに並べていました


あとの
細かいことは覚えていません

目がさめたとき
全部ぽろぽろ消えてしまいました

そういうわけで
残ったのは感情だけです


 きょうのぼくは
 自分だけの部屋を1つ持ってる

 そこに
 心をあずけっぱなしにしている

 心は
 ぼくがずっと大切だと信じてきたものたちに
 囲まれていて

 窓から吹く緑の風に
 おだやかに揺れている


そんな気持ちです