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ELEMOG@秋葉原MOGRA

わたしには流行っているものを避けてきた時期があった。しかしクラブに通い続けてヒップホップのルーツとしてジャズやソウルを聴くようになり、フュージョン、ハウスに出会い、その後やっとエレクトロで踊るようになった。プロディジーやUnderworldはシャバいと切り捨てたせいでリアルタイムではなかった。それらを含めて、わたしにとってのエレクトロとはタキテリックとの出会いに始まる。時はフィジェットハウス全盛期。

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きっかけ。

(いまはなき)代官山AIRは本当に楽しかった。しかし当時のわたしには友達がいなかったら耐えられないほどに音楽の探求という意味でAIRのカラーはシャバかった。そんな陰キャなわたしのmixiコミュニティにあったのが秋葉原MOGRAだった。オタバレしようものなら殺されかねなかった時代、秋葉原でエレクトロのイベントがあったことは本当にありがたかった。思えばそれがMOGRAに行くきっかけだったような。あんま覚えてないけど、大好きなニルギリス、yukiさんがレギュラーで居た回。たまに大好きなボーカリストであるアッチェさんがSAKURAを歌ってくれることもあった。ゆえにあの箱でニルギリスを聴くと泣いてしまうというわけで。

ついでにわたしがMOGRAでというかクラブ人生でいちばん泣いたピカチュ!!!のリンクを。2010年のバックナンバーにtofubeatsいるタイプのイベント。

10年通ってるってすごくないですか。

みなさんには10年通ったクラブイベントはありますか?しかも未だに楽しく遊んでいます。行きたての頃はハウスが聴ければ結構なんでもよかったんだけど、ここで関わってくるのがEDMというシーン。正直EDM(という言葉の)確立以前のエレクトロに限っては、確実に渋谷のクラブイベントの方が楽しかった。MADEONのこの頃とかCalvin HarrisのI'm not aloneとか。EDMの走りがあってからは、渋谷のクラブはいつ行ってもEDM特有のサビ前のあのビルドアップ(おれたちは強い!おれたちは強い!のとこ)が聴ける環境に変化していって、わたしが愛したエレクトロのイベントは激減してしまった。それが秋葉原の地下にあって、未だ脈々と続いてるというわけです。もうこの手のイベントは絶滅してしまったと思う。EDMもかかるし新しいのもクラシックもかかる、ゲストやお客さん時間帯次第でガラリと雰囲気の変わる、常に想定外のダンスフロアがそこにあった。

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melo / Acid Killinger 

画像は平和だった去年。

ELEMOGの魅力。

先述したのは個人の背景なので現体制のELEMOGのもう少しフラットな魅力を並べてみたい。

そりゃ10年も現場やってればみんなDJ上手いよね。ここまでのレベルを毎月味わえるイベントはちょっと思い浮かばない。テクニックなら渋谷のど真ん中でプロのDJがやってるやつとかもあるけど、ちゃんとコア層にもアプローチしているところが好き。

あと、クラブイベントの一晩の階段がすごくしっかりしてる点も魅力だ。ゲストによって変動する一晩の流れをつくるオープンDJを誰がやっても正解になる。ゲスト前後にこうなってそうなってというステップがものすごい解像度で繰り広げられる。

レギュラー陣のカラーがわかりやすいのも特徴的だ。ゲストやBPMに左右されないそれぞれの色がしっかり出ているので裏切られない。でもお約束みたいな曲は全然なくて、フロアと自分のエゴを光らせて最適解を選択しているように思う。その踊らせようとしてくるあたりのベクトルに各DJの貪欲さを感じたりする。

これはMOGRA名物とも言えるが、みんなアホみたいにお酒を飲む。まずDJがすごい飲む。このひとこの後出番なのに首まで赤いな…とか、というかもう倒れてるのにてブースに引きずって運ばれて、絶対記憶のないテンションでプレイをして、なぜか全然ミスらないというのがわりと普通にある。同じアーティストの曲ばっかりかけたりするが、それもその夜の大正解になる。いわゆる伝説回が多発しやすい環境、一種のハメイベントなんじゃないか、と思う。

書き足りないけどクドいので切り上げ。

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わたしにとってのELEMOGは。

このイベントがなかったら再び渋谷に戻ることはなかっただろう。聴いているうちに好きになったジャンルは多すぎて並びきれない。ELEMOGの解釈はいまのわたしのクラブの解釈に直結している。ベースラインなんかは本当にHyperJuiceやmeloくんがいなかったら聴いてなかったし、いまのシーン、例えば目下リバイバルにあるUKGについていけなったかもしれない。さらに様々なゲストを見せてくれたオーガナイザー、というかyakoさんには感謝してもし切れない。ELEMOGが広い視野、深度、多くの出会いの場になっていまのわたしがある。

結びに。

通いすぎてる手前、もぐらに関して書くのってちょっと抵抗あったんだけど、先日歳若い友達とエレクトロの話になったとき、わたしのエレクトロの解釈を思い浮かべるとどうしてもこのイベントに繋がるので今回はしたためさせて頂いた。いまのわたしにとってのクラブイベントの原型はこれ、というお話。

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なお、これELEMOGのELEの部分はエレクトロだと思ってて書いたんだけど、先日D-YAMAさんに聞いてみたところ「エレクトロハウスの意」とのことでした。知らずに10年が経ちましたね、本当にありがとうございました。

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