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コロナ禍、クラブ、記す。

2021年11月現在。東京都の感染者数は一時期より抑えられ、緊急事態宣言も解除された。第6波が来るかもしれないけど、このままなら大丈夫そう?と世間も戦々恐々ながらも外出し始めたこの頃。このまま全てが快方に向かえばいいと思うけど、もうひと捻り欲しい不安のある状況。ここまで来るのに1年9か月ほど月日が流れた。

当初わたしは趣味というかライフワークとしてのクラブ遊びが気軽にできなくなって、それどころか場所が消えてなくなっていくことにかなり焦っていた。2020年の目標として己に月イチnoteを課していたけど、冷たく暗いニュースが流れる中で、どこかで形はどうあれ出来るだけクラブに還元されてほしいって気持ちがあって。実際マナーを守って健全に遊んでいたつもりだし、明るいアクションとしてコロナ前より以上にお金を使った。なんかそういうパッションがあった。

今回はこれから快方に向かっていけば良いという願いを込めつつ、そんな中でこれまでみてきたものを備忘録的に書いてみようかなと思う。あと、ここに書く内容は、わたしの趣味がどうやって生き残ったかという話だ。良いとか悪いとか法律や条例の話ではない。

遊び方のルールが変わった。

初めは配信のイベントに重心を置き始める動きがあった。それもなんだか…というところで一時的に例の宣言が解除された。三密回避などの注意喚起に伴い、感染の防止に配慮した制限がされた。世間様のバッシングから身を守るためにもクラブが営業するにあたりルールを変える必要があった。 

マスク着用の必須、入場時の検温、大声の禁止、回し飲みの禁止。大体どこに行ってもこれは最低限だったと思う。前のふたつはともかく、後者はコロナ禍以前では普通の光景だったけど、これが敬遠されたのは異様な光景だった。回し飲みに関しては、個人的にはこのまま無くなってもいい文化かもと思うけど、これは文化圏で違ってきそうな気がしている。入場時の個人情報のフォーム入力やスタッフのドアノブやテーブルの消毒、写真撮影やアップロードの禁止など、お店によってだけどより安心して遊べるような配慮も見られた。

イベントはより尖っていた。

シーンの停滞みたいなのはあんまり感じてないと友達に話したら、「この状況下でやってるジャンル、やってないジャンルがある」って言葉が返ってきて、この話はまさに膝を打った。わたしのみた範囲では少なくともEDM、J-POP、アニソンのイベントは中止と延期でほとんど観測できなかった。

逆にマイナージャンルのイベントが少しずつ開催された時期があった。これは平時では考えられないことだったし、面白そうなイベントが少なくなかったのでもったいないとも思った。もっともお客さんがガッツリ入る見込みのない状況下だし、ただデカい音で聴きたかっただけという線もあるが。いわゆるメインストリームの台頭に立った形とも取れるけど、この層の開きは興味深いものだと思う。

DJは限られた。

DJが出演するにあたっても個人の判断に委ねられるところだけど、少なくない制約があった。まず社会通念として避けられた県をまたぐ移動。これによって近郊からの移動はネガティブになった。それから実家暮らしなど身近に子供や高齢者がいる場合。感染したときのリスクは友達に背負わせられない以上これもネガティブ。さらに職場からの指示。在宅ワークなどが増えたが自宅待機の指示が出ていたひとも少なくない。その上で体調管理をこなしていること。これらをパスしたDJだけがようやくブースに立つことができた。

要するに一人暮らしでリスクの少ないDJが中心になっていった。これだけ書くとそんなに絞られない気もしてくるけど、実際は影響してたと思う。告知したイベントのDJがひとりでもいないときの拭えない喪失感は、こんな状況下だからこそ余計に現実に目を向けさせた。

逆に、これら狭き門を超えてなおDJがしたい、イベントをやりたい、そんな情熱がちらほら顕現したようにもみえた。おもしろいのはこれらに良し悪しがあって、出演が増えたり、途絶えたりしても、評価が上がってたり下がってたりしている点だ。出ないことで思い出したり忘れたりしているのはDJとしての要素というか、自然現象がもたらしたひとつの振るいにかけられたところだなと思った。

Tシャツやグッズが増えた。

ほとんどのクラブが大なり小なりのクラウドファンディングをしてたと思う。正直この頃がいちばん心苦しかった。お金を使って手にした安心感なんてたかが知れていたから。でも実際消えていった場所もあったし、そうでもしなければ落ち着かなかった。この焦燥感ははっきり言って嫌だった。結果、リターンでこの時だけのアイテムが増えていった。これもコロナ禍が引き起きた現象なんだな、と。

また、クラウドファンディングをしなかったお店にどうしてやらないの?と尋ねたら意地だと言っていた。意地で存続できるならいいけど、無くなるくらいならやったらいいのに…と思ったがお店の指針にはあんまり言えなかった。でも、もしかしたらこの漠然とした不安への配慮だったのかなと。どっちが良いとか悪いとかじゃないけど、まったく、最後に立っていなかったら許せないような話だ。

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Sour Plum / ADAM at

ここまで超がんばった。

正直、もっとクラブは叩かれるんじゃないかと思っていた。罹患して苦しい思いをしたひとや友達は確かにいた。しかしクラブで特大クラスターが起きた、みたいな結びつきにはならなかった。とりあえずここまで、これだけでもクラブを守ったと言えると思う。超がんばった。超えらい。

一方、いまだEU諸国では感染者がどんどん増えていて再びロックダウンかという状況だ。すべてが復元していくにはまだ道のりがあると思う。きっと、ちょっとした気遣いが功を奏するので、そういうメロディを奏でていこう。ミュージックラバーだけにな。


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