腹膜偽粘液腫と言われた日
2022年8月3日
この日から私の世界は変わってしまった。
これまで平凡だけど、平和な毎日を送っていた。
大きな病気はしたことがなく、今まで受けた手術は不妊治療の時に卵巣の手術を受けただけ。
命に関わるようなものではなかった。
朝から雨が降ったり止んだりのこの日、私は1人で車で診断結果を聞きに言った。
撮影したCTとMRIの映像を見ながら、説明を受けたのだが、私は先生に渡された画像診断報告書の「悪性腫瘍の疑い」と言う文字から目が離せないでいた。
「悪性腫瘍とは癌ということでしょうか?」との私の問いに、先生は「そういうことになります」と仰った。
しかも腹水は水ではなくゼリー状のもので、「腹膜偽粘液腫」という聞いたことのない病名だった。
非常に珍しい病気で、ここでは手術が出来ないので、東京の病院で手術することになると言われた。
ここの病院で卵巣腫瘍の手術だけして、腹膜偽粘液種の手術は東京の病院でするか、それとも両方東京の病院でするのか、先生たちでミーティングするとのこと。
「結果は明日お話するので、今日は採血してお帰りください」と言われ、先生にお礼を言って診察室を出た。
医療系のドラマではガン宣告された主人公はたいてい泣きわめいたりしてるが、ここまで私は至って冷静だった。
現実のことのように思えなかったからだ。
この日は採血がすごく混んでて、会計が終わるまで3時間かかってしまった。
病院の外に出たら、本降りの雨。
来た時は霧雨だったので、車に傘を置いてきてしまった。
仕方ない、走ろうと駐車場を走った。
ところが自分が停めたと思っていた場所に車がない。
どこに停めたのか分からなくなってしまった。
結局2列も先に車があった。
冷静じゃなかったんだ、自分、、、
帰ったらお昼。今日は家族全員いる。
なんて話したらいいんだろうと運転しながら考える。
夫には負担をかけることになる。
泣き虫な娘は絶対に泣くだろう。
息子はまだ高校生なのに、大丈夫だろうか。
考えてたら涙が出てきて、運転しながら泣いた。
死にたくないと思った。
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