寄せ書き

これまで寄せ書きをもらったことが3度ある。中学の部活を引退する時、以前働いていた地方のメイドバーを卒業する時、今働いているお店で昨年生誕イベントを行った時。

引退、卒業などその場を去る時に寄せ書きをもらえるのは文化として馴染みがあったが、生誕イベントで寄せ書きをもらえたのは思いがけないことだったので殊更に嬉しかった。誰の提案なんだろうと気になっており、確か誰かに質問した気もするのだが、自分の妄想と現実が混ざり合ってでっちあげられた記憶かもしれない。

自分について言及された文章が好きなので寄せ書きってありがてえものなんだよな。卒業文集でクラスごとに作る○○な人ランキングとかね。大人しくてもじもじしてたので「やさしいおばあちゃんになりそうな人ランキング2位」と「早く結婚しそうな人ランキング2位」をいただきました。あたしがほしいのは“1位”だけなのに。

半年ほど荷物を積み上げていた作業台を片付けた。IKEAのIVARというシリーズの収納ユニット?でクソでかい。かわいいけどこいつのせいで狭くてベッド導入できないし、次の引越しの時連れていけないから解体するしかないし、IKEAの家具は再組み立てできないから本当の本当に切り刻んで棄てるしかない。かなしい。好きなのに。

積んでいた荷物から生活に必要そうな払込票が出てきてヒヤッとする。中学の部活の引退の際の寄せ書きも発掘された。これは割と置き場を決めていたが今回、よりしっくりくる場所に移動できた。

弓道部だった。当時は所属欲が満たされていた。思えば他2回の寄せ書き拝受も、所属欲が満たされた瞬間にあった。周囲から集団の一員としての承認があるからこそ寄せ書きのチャンスが生まれるのですね。弓道部では一番絵のうまい後輩があたしの色紙のデザインを担当してくれたおかげで、同期で一番かわいくて豪華な色紙をゲットした(比べるものではないけどさ)。

浮いた話のないボケっとした喪女で割と聞き専だからか、すごく懐いてくれる後輩がいた。あたしはいじられていた。いじりながらも恋の相談をしてくれる彼女がホンマに好きやった。彼女は結構メスガキちゃんぽいメスガキちゃんで、「せ〜んぱい♡」と語尾に♡をつけて話してみたり、肩をつついてきたり、頬を揉んだりしてきた。エッロ。よせ、ガキ!w……寄せ書きだけに。

なんでもないです。そんな彼女はあたしの色紙の一番いい位置にメッセージを書いた上で、裏面にも2人だけにわかる内緒のノリでコメントをのこしてくれた。なんかいちゃいちゃしてくれてこういう女性、あたしは好きだな♡

当時は思春期だからか女性に童貞扱いされることが何度かあった。今もたまに「この子あたしのこと童貞クンだと思ってる?」ということがある。たぶんこれは自分の自意識の不具合なんだけど、そういうのふつうに好きになっちゃうし悪くないですね。

封筒に1万円札が入った状態で、積まれた荷物の中にあえて紛れ込ませることをする。紛失は危険とわかっているがやめられない。整理整頓をした時にボーナスとして発掘される忘却されたお小遣いは格別に嬉しいものだから。

今回それを最高にバッチリ成功させた。というのも、もういい大人だからさすがにお掃除ボーナスの仕掛けはしていないだろうと、過去の自分の行動をすっかり忘れていたから。前提の“忘却”が完全な形で実現されていたわけだ。アッ封筒……さすがに中身はないやろ……ある……の心の動きは、1万円以上の価値のある大きい感動。貯金しました✌️これはチョキ。

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