アルバィト

学生の時に試食販売のバイトをしていた。毎回違うスーパーで違う商品を売るため単身で乗り込む。真冬に遠くのスーパーに飛ばされて、雪の中で1時間に1本のバスを逃して号泣したことがある。あたしの号泣は本当の号泣で、文字通り、哭く。怒声混じりにオンオンと。死ね!死ね!とツイートしながら。車道からはねるベチャ雪にスニーカーを濡らしながら……
雪国というか日本海側出身の人は雪の日もスニーカーで出かけると思っていたが、ちゃんとブーツを履く人が多いらしい。というか、車で外出するらしい。試食販売のバイトで一番大事なことは「車を持っていること」。これでおばちゃんたちは悠々と遠方へ向かい、遠方手当もゲットする。
1年ほど続け慣れてきた頃、あたしはよく帰りだけ両親に車で迎えにきてもらっていた。実家の隣の県で一人暮らししていたため、あたしが派遣されるスーパーも両親からすればちょっと遠いのだが、働く娘見たさで2週に1回くらいの高頻度で迎えにきてくれた。毎回あたしが売っている商品を買う。ヨーグルトだったりジュースだったり。恥ずかしいし、スーパーの店員さんにバレたくないんだけど、親もなんか照れながらあたしと他人の演技をしている。敬語で会話する。恥ずかしい!演技ってものすごく苦手で照れて死にそう。でも恥ずかしいから来なくていいよ〜なんて言ってたのは1度だけで、車で帰ることに味をしめたあたしはすぐに「あたしがバイトしとるとこ見たいんやろ〜?」と両親を呼びつけるようになった。現金な娘やね!と言いながらニッコニコ両親。恵まれているね……恵まれている話をしてみんなを知らず知らずのうちに傷つけてしまったかな?はわわごめんなさい……
掛け持ちで薬局のバイトもしていた。試食販売で飛ばされたスーパーで、偶然にも薬局の店長と遭遇した。いつもおっとりレジを打っているバイトちゃんが、信じられないほどの大声で客を呼び付け商品を売り込んでいる!とギャップに驚いた薬局店長は、それ以降なぜかPOP作りの仕事をあたしに任せるようになった。大きな声が出せるところを見て、なんでもやらせてみたら出来るかもしれないという可能性を感じたと言っていた。POP作りをきっかけに他のアルバイターたちとの会話が増え、ホーム感あるね〜と思えてきていた矢先、店長が急死する。あたしは自殺じゃないと思うけど、心身ともに疲弊しきった時にいつもならしないような行動をとりうっかり死んでしまうことも自殺に含まれるならこれは自殺になるんじゃないか。死のう!→死んだ。という直接の流れでなくても、自殺心が育っていた中で死に身を委ねたってワケ……わからんけど。お通夜で流れた故人を弔うビデオみたいなやつがすべってて嫌だった。人の死って卒業みたいにまとめられてお空の背景を合成されたりしちゃうんだ……!とあせった。逆に嘘みたいにしてくれてるのかな。余計に虚ろな感情になる。どう扱ってもどう論っても正解がない中で闇雲に冥福を祈るしかない。店長とバイトの距離にふさわしい熱量で。

さ、サポート……?ってなんだろ………… ポチッ わわっ!なんか心がホワ〜ってなる!