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時間が止まっている!

血が出ているのになぜ怒るのですか?

 優生保護法の問題は、私にはうまく言えない。小学校3年生の頃、施設の部屋で友達6人が居た。皆、脳性マヒだった。1人の友達で突然お尻の方から血が出てきた。皆はどこか具合が悪いと思い、職員を呼んだ。
 「リツコちゃんのお尻から血が出ているよ。怪我したんじゃない?」と、友達たちが言うと、一人の保母さんが来て、突然真っ赤な顔をしてリツコちゃんの下着を取り替え、畳を拭きながら「あなたどうしたの?まだ子供のくせに何でこんな事が起きるの?」と言ってお尻を抓られたり、叩かれていた。私達は何故怒られているのか判らなかった。あの光景はもう見たくはない。

書けなかった弱さ

 しばらく経って信頼できる看護師さんに、「お尻からなんで血が出るの?」と聞いた。すると、「女の子はね。月に一回生理がありお腹に赤ちゃんが食べる血液が出てしまうのね。毎月だから大変ね。」と教えてくれた。
 でも、リツコちゃんの生理は一回で終わった。あまり酷く怒られたのでショックで止まってしまったのだ。ということが、しばらく経って理解できた。障がい者の施設とは、そういうことが日常茶飯事あった。あまり思い出したくないが、思い出して社会に伝えていかないと、また同じことが繰り返されるかもしれない。
 私の知り合いで、障がい者の女性が男性に暴行された。そして、妊娠してしまった。病院に行き、すぐ手術し、子宮を取った。その経験を私に書いて下さいと、言われたが私には書けなかった。書いてはいけない事だと思っていた。

アパートは満杯です!

 優生保護法の判決が決まり、障がいがあっても子供を産んでも良いことには法律上なったが、私達の生活は何も変わらない。結婚しようと思っても、仕事が無い。住みやすいアパートも無い。子供の育児を手伝って下さるヘルパーさんも居ない。無い無い尽くしだ!若い障がい者達よ!この現実に怒りを覚えないか?誰かが戦わないと、障がい者は一生家庭を持つことが出来ない。若い人たちが病院から出てきても、アパートが無い。私の若き日40年前と変わってはいない。
 結婚した時、夫は障がいが無かったのでアパートを何件か探してきた。しかし、後で私が行くと「車椅子の人が居るんですね。」と言われて「アパートは満杯になりました!」と、何度言われたことが・・・そして、いまだに同じことを言われている。悔しい現実がある。

微笑んで幸せを感じて欲しい

 優生保護法に勝った方たちは、国から頂いた賠償金はいくらくらい出るのか知らないが、早く頂いて若き日の時間を取り戻さなければいけない。彼らは日本のどこかに旅行に歩くとか、会いたい人に会いに行くとか、海外旅行でもいいですね。そんな計画を色々立ててあげる人が必要なのではないか?と、おせっかいな私は思う。勝ち取ったお金で、一瞬でいいから微笑んで幸せを感じて欲しい。それが優生保護法の役割だと思う。まだ、考えなくてはいけないことがあるが、私は経験していないので、あまり深くは書けない。最後に勝った人達の、短い言葉を書いてパソコン上の本にしてはどうかと考える。そして、優生保護法のことをよく知らない人たちに伝えていかなければならないことではないかと思う。皆さんどう思いますか?

なぜ名前を隠すのか?

 7月26日は、相模原障がい者施設19人殺害事件から8年が経つ。相模原市の施設はさらに厳重な建物を造り、人が出入り出来なくしているものを造ってしまった。残念である。殺された人達の名前は約半分しか発表していない。何故名前を隠すのか?その人たちがこの世に生まれて来なかったことにしたいのか?闇に閉ざされている。名前を書けない理由は親や兄弟・親戚が書かないで欲しいと言っているのだろう。障がい者運動の歴史は一部の人しか満たされていない。



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