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起きれる限り、ケアを伝えたい!

この孤独さはなんだろうか。

 最近、ヘルパーステーションいちごに、新人ヘルパーさんがやって来た。優れた手さばきでケアが出来るかどうか、特訓しなければいけない。私は週に四日事務所に来て仕事をしているが、何だか本当の仕事を行っていないような気がする。朝目覚めると空しくなる。この孤独さは何だろうか。と考える。
 新しいヘルパーさんが来て下さり前からいるヘルパーさんも来て、私はちゃんと生きられている。それが一番幸福なのではないだろうか。と自分に言い聞かせる。でもやはり、まだまだ親の考えに縛られたり、施設で生きている人が多い。その人たちのことを思うとやりきれない。

親が我が子の心を踏みにじっている。

 先日、地方の人で42歳の筋ジストロフィの男性から電話があり、車の運転や仕事が出来ていたが、障がいが重くなり出来なくなってしまった。という「ヘルパーさんに来て頂いたらどうですか?」というと、「親が他人に家に入られるのが嫌だと言うのです。私は、親から離れ札幌か雪のないところで住みたいのです。」と言っていた。(また親か。)親が子どもの人生を踏みにじっていることが多い。障がいが無かったなら親の意見を聴かずに自分で外に行き働けただろうに、42歳の男性が親の意見を無視できないことに歯がゆさを覚えた。

私のしたかった仕事。

 私は、新人職員に夜来ていただき排泄・食事・着替え・お風呂・ストレッチ体操等きめ細かく教えてあげた。喉がカラカラになり軽い眩暈がした。身体は疲れたが、私の心はとても軽くなり、嬉しくなった。(これが、自分にとって一番したかった仕事なのだ。と思った。)これからも、身体の続く限り、少しづつケアを教えていきたい。

厳しい勉強。

 上の写真は、歯磨きをしてもらっているところだ。私が黙っているとあちこちバラバラに磨きどこを磨き残したか判らない。「あなた、自分の歯もこうして磨くの?違うでしょ?はい、右の下の外側からゆっくり電動歯ブラシを左へずらして、ゆっくりゆっくりね。はい、そして今度は内側ね、それもゆっくりゆっくりね。」と言って歯ブラシを口の中に入れてしゃべるのは、至難の業だが真剣に伝えていく、すると彼女は手で私の言葉通り動いていく。こんな事を何百回やってきても大変な事である。
 若い時は、ヘルパー学校に行き歯を磨いてもらった、そしてヘルパーさん同士にも歯を磨くように頼んだ。障がい者役になっていく人は、歯茎が血だらけになり、もうやめて欲しいと。悲鳴を上げた。大変厳しい授業だった。ヘルパーの資格は教科書を学んでも解らない世界だ。障がいを持った人から教えてもらうのが自然の仕事だと思う。

生きるテクニックを磨かなければ!

 ヘルパーさんが不足しているというがこれは世界中の問題であるという事を知った。障がいの無い人たちばかりをあてにしてもヘルパーは増えないと思う障がい者自身は生活の仕方を話して、実際に教えていく事が大切だと思う。30年間ヘルパーを続けたヘルパーさんは「私がね若い時は障がい者は生意気だと思っていたんだよ。頼んでばかりいて、文句を言われて、帰れ!と言われたこともあるんだよ。」と言っていた。何も楽しみもなく家にいる障がい者はそうなっていく人も多いだろう。でも、秘かに私達は考えている。今日来るヘルパーさんには、何をやってもらおうかな。洗濯と掃除かな。と考えて頼む。そして、夕方くるヘルパーさんは料理かな。と思いメニューを考える。秘かに私達は、この考える作業をしているのだ。ヘルパーを続けていることにより、この秘かな思いをお互いに解りあって行かなければいけない。これは、子供も障がい者も高齢者も同じ思いを持っている。生きるテクニック!を私達は磨かなければいけない。何が上手か何がまだうまくいっていないのかを見つけ言ってあげることも大切だ。楽しく生きて行くお手伝いをお互い信じあってケアを受ける事が大切なのではないか。久しぶりに真剣にケアを汗をかいて教えられたことに生きる喜びを感じた。





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