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隣の墓に入りたい?(^_-)-☆

おばあちゃんが、孫をお墓に連れてった訳。

 息子は、三歳頃からおばあちゃんに連れられて、お墓参りに必ず行っていた。「お母ちゃんはね、方向音痴だから、大地がお墓の道を覚えなければいけないのよ。」と、言っていた。おばあちゃんが、孫に言った通り、お墓参りを欠かさずしている。去年は、わたしは、具合が悪かったので、お墓参りには来れなかった。息子がちゃんと行ってくれたので安心していた。
 今年は、息子家族とわたしとで、四人で行って来た。小山内家のお墓は、六十年くらいたっている。周りのお墓はりっぱになり、わたしたちのお墓は骨董品の様になっている。

気に食わなかった父の独り言。

 父と母は離婚をしているので、母は小山内家の墓には入りたくない。と言っていた。困ったなぁと悩んだ。一緒の墓に入った方が、一回でお墓参り終わると考えて「母さん大丈夫だよ、父さんの骨と母さんの骨の間に鉄板を貼ってあげるから、それで大丈夫じゃない?同じお墓にわたしも、大地も行くのだから一緒になれるんじゃない?」というと、「あ!そうだね。そのほうがいいね。」と簡単にOKしてくれた。
 父は、和寒から札幌に来てすぐに、お墓を作った。一番上の私の兄弟は、男の子であり、四・五ヶ月ですぐに、天に行ってしまった。父はその子のお墓を畑に作ったそうだ。そして、札幌にお墓を作った時すぐに、和寒に行き男の子の骨があった土を袋に入れて持ってきた。そして、札幌のお墓にすぐに入れたという。父は、それだけ、その男の子がかわいいかったのだ。
 父の作ったお墓には、次々と親せきの人の骨が入っている。父は「俺が作った墓なのに、誰でも入ってくるなぁ、お墓のお金もくれなかったのに。」と独り言をごそごそ言っていた。わたしは、その独り言が、どうも気に食わなかった。「父さんいいんじゃない。次から次へと、父さんの墓に入ってくるなんて、いいことじゃない?父さんは良いことをしたんだと思うよ。わたしは、偉いと思うよ。」と言うと、父は「そうか。」と言って黙りこくってしまった。今は大きな墓を作り、知らない人とでも、いっしょに入れるお墓があるそうだ。お墓に亡くなった日と、その人の名前を書いて下さるそうだ。わたしは、そういうお墓の方が、合理的ではないかと思っている。

隣のお墓に入りたい理由。

 小山内家のお墓の周りは、最初は木に名前を書いたお墓が多かった。しかし、今は立派なお墓が沢山立っている。小山内のお墓の横に杉本というお墓がある。わたしは、そのお墓がどうも気になってならない。できる事ならわたしは、その杉本というお墓に入りたいと、秘かに思っている。骨というものは、時間が経つと溶けて、土になるのではないかと思っている。だから、わたしは若き杉本という男性を好きになったので、どうしてもそのお墓に入りたいと、馬鹿な事を考えている。このことは、息子に言うか迷っている。頭を叩かれそうである。
 わたしの姉も死んだら、旦那様のお墓でなく小山内家に入りたいと大地に言っている。大地は真剣に悩んでいた時があった。「母さんこういう時はどうしたらいいんだい。」と真剣に聞いてきた。「大丈夫だよ。おねぇちゃんにも息子がいるから、息子が決める事、息子がいれると言うなら入れてあげなさい。あなたは決めなくていいの。」というと安心した表情を浮かべた。まぁお墓を守っていくのも大変な事だ。これから、何が起きるか判らないけれど、わたしはやっぱり、杉本さんのお墓を諦めて、母の居るお墓に入ろうか!また来年もお墓に行けることを祈りながら、杉本さんのお墓の花を買ってこようかと思っている。人は好きになるというのは、こういうことかもしれない。

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