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初恋だったかもしれない

今はどうしているんだろう?もし会ったら謝りたい人がいる。
小6の頃、スポーツもできて、成績もよく、目立つ男の子Nくんは女子に 人気だった。色白でちょっと小太りで、男子の友人も多かった。

なんでも出来る子で図工も得意だった。
ワタシも図工は自信があったけど、どこか集中力がないのか仕上げが雑で、「よくできました」みたいな感じだった。

その時は、木製のラケットが課題だった。ラケットに思い思いに絵を描いたり着色して、オリジナルのものを作った。
自分でも上手く出来た気がしていたけど、ダントツでNくんのがキレイだった。特に仕上げのニス塗りが完璧で、乾かす半分、展示半分で並べられていた教室のロッカーの上で輝いていた。

放課後、イタズラをしようと最初に言い出したのはワタシだった。
「ちょっとだけ、傷をつけない?」と。数人の女子がつづいた。

翌朝、教室に行った時には、既にコトが起こった後だった。
ラケットが半分に折られていて、女子がひとり泣いていた。
傷をつけられたことを怒って、Nくんがその女子のラケットを折ったようだった。Nくんのラケットは昨日みた時よりもっと傷が刻まれていた。
その後、ホームルームが開かれ、傷をつけたのは誰か聞かれて、教室のほとんどの女子が手をあげた。もちろんワタシも。
ただ誰が言い出したのか、それは最後まで裁かれなかった気がする。

その頃からNくんの態度がちょっとだけ悪くなった。
ある日ワタシがNくんに蹴られた場面を先生に見られ、職員室に2人で呼ばれた。青痣ができた足を見せると、先生はNくんだけ叱った。
でもその痣は本当はNくんのせいでなく、兄と喧嘩した時のものだった。

別々の中学に進んだので、その後のことは知らない。
もう覚えてもいないだろう。

あの時はごめん。今覚えば、初恋だったのかもしれない。

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