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学童クラブの話②

前回も書いたけれど、通っていた学童クラブは、古い木造の2階建てだった。寒い地域なので、冬はかなり冷えた。でも夏は風が通って涼しかったのか暑かった記憶があまりない。

季節ごとに色んな行事があって、一番好きだったのは、夏のお泊まり合宿。毎年お祭りの日で、どの学年も同じ金額のおこづかいを持って、みんなで行く。たくさんの屋台の中で特に女子に人気だったのは「くじびき」で、当たるとスターの大きなブロマイドがもらえた。あとは金魚すくいや、水風船のヨーヨー。型抜きのパズルなんかもあった気がする。

ある年は、先生と保護者によるお化け屋敷があった。いつもは使っていない2階に行くと、まず冷たいものが肌に触れる。奥にはお化けに扮した大人たちが隠れていて、わっ!と驚かす。そこでもキャーキャー!
怖かったというより、騒げたのが楽しかった。冷たいものの正体は、あとでコンニャクと知り「なーんだ」となった。

他の地域はわからないが、市教研という休みが月一ぐらいであり、それは市の教育委員会が主催で、先生たちがまるで参観日のように各学校の授業を見学する。それは持ち回りで、関係ない学校はおやすみになった。両親共働きの家の子たちが多い学童クラブでは、その日は夏休みや冬休みと同様に朝から行っても良い日になる。逆に日曜祝日はお休みだった。

父は普通のサラリーマンだったので、ほぼ日曜祝日は休みだったけれど、草野球だ麻雀だと出かけることも多く、母はシフトで休みじゃないこともあり、そういう時は学童もお休みなので祖父母の家に預けられた。大概は特に行くところもなくて、兄と公園などで遊んで時間をつぶしていた気がする。

それはある晩秋の祝日、たぶん11月だった気がする。両親とも用事があり、その日も祖父母の家に預けられ、暇な私たち兄妹は特に目的がある訳でもなく、学童クラブの近くに行った。そこで微かに何かの鳴き声が聞こえ、こっそり中に入った。鳴き声の主は、1階には見当たらない。声をたどると2階からだ。兄が2階に忍び込み抱えて連れてきたのは小さな子猫だった。

その後、学童で子猫を飼うことにして牛乳をあげたが、すぐお腹を壊す。そんな訳でぴーちゃん(下痢をするから)という名前で呼ばれでいた。
しかし朝から冷え込み零下になったある日、学校から学童へ向かったらその子は亡くなっていた。普段は物置になっていて誰も使わないボロボロで半分外と繋がっているような場所で凍死していたらしい。

大人になってから縁あって子猫を預かり、そこから猫との生活がずっと続いている。あの時亡くなった子猫からの縁なのかもと、時々思う。


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