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地下鉄の中で、忘れられないこと。

数年前の出来事なのに、未だに忘れらないことがある。

目の前に、ランドセルをしょった男の子がいた。
よくみると肩のベルトがよれていて、服もちょっと汚れている。
次第にポロポロ涙を流しはじめ、しゃくりあげる速度があがっていく。
我慢したいのにどうしても涙がこぼれてしまう、という感じだった。

ついつい目に入りながら、予定通り次の駅で降りようとした瞬間、スーツを着たサラリーマンが、男の子に声をかけた「どうした?何があった?」
そこで我慢がほどげたのか、わーっと泣き出した。
一緒にその駅でサラリーマンと少年が降りたのを見届け、ほっとしながら、ワタシは結局そのまま改札に向かった。

男の子が涙を流す、それは我慢しなければいけないことなのだろうか。

もうひとつ、電車の中で目撃した出来事。たぶん2歳ぐらいの弟を抱えていたお父さんが、小学校を上がる前ぐらいのお兄ちゃんがはしゃいでまとわりつくのに、ブチ切れて頭を掴んで電車の壁に打ちつけた。
バーーン!という大きな音がして、彼は崩れ落ちた。でも泣かなかった。そしてお父さんは、彼を見捨てるように別な車両に移動しようとした。
置いていかれた彼は、そこで一気に泣き出し、追いかけた。

うちはさほど父権主義的な教育でなかったので、正直わからない部分も多いのだけど、泣きたい時泣けなかった彼らは、どこでその気持ちを乗り越えるのだろう。

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