聴くことを取り戻す
今回は私的な日記です。
お正月の読書について。
昨夏に購入して未読だったもの。坂本龍一さんのスコラシリーズ。
上尾信也さんと、大学時代にお世話になった伊東 信宏先生が対談されている一冊です。
2部構成のまだ第1部までしか読めていないのですが、私が今の仕事においてもずっと感じていることに言及されていて、感想を記録する指が滑っています。
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学校での音楽教育に対して、
伊東 もっと聴くことを取り戻したらどうか、きれいな音や和音の美しさというのは自分自身で感じるもののはずだ、と思うんです。
坂本 そうそう、「これがきれいなんだよ」って大人が決めちゃダメです。ぜったいに。
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本書の中心テーマというわけではなく対談の中で触れられている話題なのですが、ここのところはスコラの基本精神、だそう。
このあと坂本氏がNYで音楽専門でない中学生にピアノで即興を聴かせ、何が聞こえた?と質問したさい、「遠くの知らない国を旅していたら湖があって…」といった表現の答えが返ってきたとのこと。
ラの音が聞こえました、とかじゃなく。
なんて自由なんだろう。
12月に受けたアウディオペーデの講義で、絶対音感教育による不自由の話を聞いたのだけど、
もしかしたら私も不自由なのかもしれない。
聴くことを楽しんでいる、自覚はあるんだけど。
本当に人は同じ音楽を聴いていても違うものを聴いているんだなって思います。
他の人の耳にはなれないから、やっぱり感じることを追求していきたいなんて思うのでした。
感じるを追求ってどうしたらいいのか分からないけれど、The sense of wonderに行き着くのかな。
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これより前の章での、鍵盤楽器の歴史、ピアノが生まれた理由、鍵盤の生まれた理由と「微分」の関係、楽譜が座標であるという捉え方、などの話もとてもおもしろい。
対談で取り上げられた曲のプレイリストにApplemusic or Sportifyから飛べるのも嬉しいです。
2000円でこんな深く厚みのある講義を、繰り返し読めるなんてとってもお得だと感じました。
第2部を読み進めるのが楽しみ。
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