osamu kawamura

小説を書きます。おもしろいのが好きです。 小説を読みます。太宰治が好きです。 映画を見…

osamu kawamura

小説を書きます。おもしろいのが好きです。 小説を読みます。太宰治が好きです。 映画を見ます。ノーラン監督が好きです。 バイクに乗ります。HONDAが好きです。

最近の記事

【読書】兎の眼 灰谷健次郎 1974年

1あらすじ  大学を出たばかりの泣き虫な女性新任先生の小谷先生は小学校1年生を受け持つことになる。そのクラスにはゴミ処理場に住んでいる子供たちがいる。その中に、一言も口をきかない鉄三という少年がいた。小谷先生は心を開かない彼とぶつかる中で教師として働く自分を見つけていく。 2作品の背景  作中に出てくる特徴的な少年・鉄三は周りから知恵遅れと言われている。この小説が発行された1970年代は心身障害者対策基本法が策定されている。しかし、世間では障害者への理解が進んでいるとは

    • 上司にカップラーメンを勧めていた話

       カップラーメンにお湯を入れてから待つ三分間だけでも僕は感傷に浸ることができる。  休日の昼、僕は台所でお湯を沸かす。蓋の開け口をカップの縁にくい込ませて封をする。両端に僅かな隙間が生まれて、湯気が上へ逃げ出す。その湯気を眺めていると僕の思い出が再生機に吸い込まれるフィルムのように流れる。  この感傷は寂しさで、思いよがりの、僕だけにしか分からない孤独だ。  僕は市役所の事務として働いている。八人の係員に男性は僕と上司の二人だった。女性が多い部署で彼は僕にとって頼りになる

      • 【読書】若きウェルテルの悩み

        若きウェルテルの悩み ゲーテ 1774年1 あらすじ  青年ウェルテルが友人に送った手紙、本人の日記、手記を繋ぎ合わせて語られる。友人ウィルヘルムに向けた手紙には許婚がいる女性ロッテへの情熱的な恋愛感情が詩的に書かれている。その恋が結ばれないと理解していながらも、ロッテへの感情は燃え上がる一方で、ついにそれが破綻した時、ウェルテルは自ら死を選ぶ。 2 作品の背景  作者ゲーテはドイツの裕福な家庭に生まれる。幼い頃から過酷とも言える教育を受け、その中で音楽、芸術にも触れる

      【読書】兎の眼 灰谷健次郎 1974年