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「サンテレビ 厚労省の心筋炎データは不適格」はミスリード

[2024/3/28更新]
「サンテレビ 厚労省の心筋炎データは不適格」はミスリード。「母数を感染者30万にしたら接種者の方が高リスクになる」との指摘は、元資料を確認すれば間違いだとわかる。勿論、厚労省のデータにも勘違いを生む問題があるので、どちらもどちら。

【解説】
 サンテレビが2022/6/7に放送したもの。宝塚のM医師が「厚労省のグラフは母数に感染者ではなく入院患者の数を使い、接種より感染の方が心筋炎リスクが高いと見せかけた不適格データだ」と批判しているが、M医師が「これが正しい」と解説する数値もまた不適切で、厚労省への批判を煽るミスリードになっている。これについてはサンテレビは未だ訂正していないし、M医師は自分のTwitterアカウントで固定ツイにしたままである。

◾️2022/6/7 サンテレビ News
https://sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2022/06/07/53955/

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 厚労省の元資料を確認すると、COVIREGIに研究参加した医療機関922のみの集計である。因みに全国の新型コロナの指定医療機関は42,666ある。元資料では、COVIREGIに登録された4,798人の内、心筋炎発症が4人ということなので、計算としては4/4,798で正しい(但し入院患者なので高めの率にはなる)。一方、サンテレビの30万は感染者の総数なので、分母を総数とするなら、分子も総数に対応した全ての医療機関の数でなければならない。このことは同様に、分母を10〜29歳の総人口2,266万とする場合も、分子が4のままではおかしい。
 一般的に、心筋炎・心膜炎の年間の患者数は1.5万人程度、発症率は0.02%、2019年度の厚労省のデータでは急性疾患で533人(100万人当たり)なので、未接種者の発症率を1.8(1,000万人当たり)とするサンテレビの数値はかなり怪しい。
 厚労省の図は、それぞれ異なる条件の調査資料の数値を比較しており、適切ではないとの指摘があることは否めない。然し、今回のサンテレビの報道には明らかに数値の誤用があり、こちらもまた、厚労省への批判を煽るミスリードになっている。どちらもどちらである。

◾️元資料 : 第70回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会「心筋炎関連事象疑い報告の状況について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000844075.pdf

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◾️NIH論文(preprint)2022/3/21改定版
厚労省と同様の検証を米国で行なった論文
「感染者は接種者に比べ心筋炎発症率が6倍」

◾️frontiers (2022/8/29)
自然感染での心筋炎のリスクは接種済みの人より7倍高い。

◾️ACP (2024/1/9)
非接種群を1とした時、接種群の心筋炎の相対リスクは0.1。
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M23-1754

◾️日本循環器学会提出資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000796566.pdf

厚労省の心筋炎データについては以下の記事を参照ください。

「厚労省 心筋炎・心膜炎疑い報告頻度の比較」はミスリード
https://note.com/osamu_iga/n/n58fc4eb48132

【追記】
ワクチンの有効性・安全性については自己でご判断ください。当方は、皆さんが正しい情報
を基に判断できるよう、デマの指摘に努めます。