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「マスク内は高湿度だから静電気は効果無し」は誤り

[2023/8/1更新]
「マスク内は高湿度だから静電気は効果無し」は誤り。マスクの帯電フィルターはエレクトレット処理されているので普通の静電気ではない。装着後12時間程度は効果がある。

【解説】
 静電気は湿度に弱く80%以下でしか発生しないので、高湿度となるマスク内では意味がないとする誤った説がある。実際は、マスクの帯電フィルターは、特殊なエレクトレット処理をされているので、ほぼ1ヶ月間、湿度90%の空気に曝しても効果を持続する。

◼️エレクトレット
1924年に江口元太郎により発見された。ある種の絶縁体はプラスとマイナスに分かれる誘電分極をそのまま保持する性質を持つ。この現象がマグネット(永久磁石)に近いことから「エレクトレット」と名づけられた。
https://www.tdk.com/ja/tech-mag/hatena/035
その後、1995年にメルトブローン不織布をエレクトレット処理する工法が開発され、現在の三層構造マスクの多くで帯電フィルターに利用されている。

◼️化学工学論文集(1992)
「エレクトレットフィルターの初期捕集効率と集塵性能の安定性」
通常の帯電と異なり、エレクトレット処理されたフィルターは、湿度に対し非常に安定。(湿度90%で実験した結果)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakoronbunshu1975/18/2/18_2_240/_pdf