見出し画像

「市販マスクの漏れ率86%」は誤り

伊賀 治　デマ撲滅ファクトチェック集

[2024/7/20更新]
「市販マスクの漏れ率86%」は誤り。出処は大西一成准教授(聖路加国際大) の「マスクの品格」という連載記事。これに追従して各紙がマスク漏れ86%と報道したもの。然し、その後の著者の最新論文では「鼻ワイヤをWに曲げて装着すれば漏れ率は51%」となっている。他の論文でも同様であることから、適正に装着したときの市販マスクの漏れ率は50%というのが現在のコンセンサスと思われる。

【解説】

大元となった「漏れ率86.3%」の連載記事

◾️マスクの品格(大西一成准教授)(2020/5/2)
https://renaissance-media.jp/articles/-/275

大西准教授の最新論文では「漏れ率50.82％」

◾️大西一成准教授の最新論文(2024/2/16)
Comparison of the inward leakage rate between N95 filtering facepiece respirators and modified surgical masks during the COVID-19 pandemic
ノーズフィットワイヤーにW字型に曲げ加工を施したサージカルマスクのILR(内方漏出率)の中央値は50.82％
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ehpm/29/0/29_23-00303/_article

他の論文の例でも漏れ率は50%近辺

◾️ Clinical MicrobiologyReviews (2024/5/14)
Masks and respirators for prevention of respiratory infections: a state of the science review
サージカルマスクのTIL(呼吸用保護具全体の漏れ率)は粒子径1〜2μmで50%あたり。
https://journals.asm.org/doi/10.1128/cmr.00124-23