見出し画像

「無症状感染者からの感染率は0.4%」は誤り

「無症状感染者からの感染率は0.4%」は誤り。名古屋のクリニックTが台湾論文のデータを使って独自に計算したが、誤った答えをネットに拡散したもの。

【解説】
単純な計算間違いである。
分母は全接触者数の2,761ではなく、発症前の接触者数299とすべき。更に、分子の11は発症後の接触による感染の可能性が否定できないので、論文では確実に発症前の接触で感染したと言える2を使用して控えめに0.7%としている。この実験では接触者2761のうち二次感染者(無症状感染者4人を含む)は22人なので、全体の感染率は0.8%。感染率に有症状者と無症状者との差はない。

◾️名古屋のクリニックTのYouTube
https://youtu.be/8t3BHu4ZONk
[無症状感染率] d/a=11/2,761=0.4%

◾️台湾の論文
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2765641?resultClick=1
a)接触者2,761人
b)二次感染者22人
[感染率] b/a=22/2,761≒0.8%
c)発症前に接触した者299人
d)上記cの内、二次感染者11人
e)上記dの内、確実に発症前のみ接触した者2人
[無症状感染率] e/c=2/299≒0.7%

この台湾の論文は無症状感染リスクを明らかにした論文として厚労省も参照しているもの。当論文の調査の目的は「感染率の算定」ではなく「発症前後の感染力の有無」であるから、当論文からは発症前の無症状期でも発症後と同程度の感染力があることを読み取るべきである。計算の間違いは論外として、当論文を「無症状感染は無い」の根拠とするのは、論文の主旨を理解していないと思われる。