[2024/8/12更新]
「マスクに捕集されたウイルスが再吸引される(Foegen効果)」は根拠不明。提唱者Fögen氏の論文をTown hallが拡散したもの。この論文は先行研究「マスクをすると感染者減」のデータを使い、全く逆の結論「マスクをすると死亡者増」に作りかえたもの。論文中にも「仮説」と書かれているように、当論文からはFoegen効果の科学的な根拠は見いだせない。
【解説】
Foegen効果とは、マスクに付着した飛沫が乾燥して微粒子になり、それを再吸引すると症状が悪化するというもの。
Fögen氏は著名な反マスク論者。「Foegen効果」は氏が論文で自らの名を付け命名しただけで、学術的に認められた説ではない。他者の論文で「Foegen効果」に言及したものは無く、Fögen氏の論文もこの単著論文が唯一である。
Fögen氏が論文で元にした先行研究は、結論が「マスクを義務化すれば感染防止効果が上がる」である。この先行研究のデータに死亡者数を加え「マスクを義務化すれば死亡者が増える」と全く逆の結論に再解釈したのがFögen氏の論文であり、Foegen効果の根拠であるが、これには幾つかの疑義がある。
例えば、データを引用する際に恣意的に抽出し直していること。死亡者数は新型コロナ以外の死因を含む総数であること。米国では義務化してもマスクの装着率は期待するほど上がらないこと。死亡者が実際にどれくらいマスクを装着したかデータが無く不明であること。「感染拡大し死亡者が増えたから義務化した」のに「義務化したから死亡者が増えた」と誤った解釈をした可能性があること、など。
いずれにせよFögen氏が自ら”Hypothesis(仮説)”と書いているように、当論文では根拠に乏しく推論の域を出ていない。
マスクの優れた捕集能力は一旦捕まえたウイルスを簡単には離さないとする実験結果もある。