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拝啓

桜の花が儚く散り、葉桜の季節となりましたがいかがお過ごしですか。
僕はあなたと離れてから詩が書けなくなりました。それ以外はいたって健康です。
引越しは上手くいきましたか?
僕は昔から引越しなんて大嫌いです。
染み付いた思い出は引越したところで無に帰すわけじゃないのに、どうして人は引越したがるのでしょう。僕には到底理解ができないです。理解することを自ら放棄しているのかもしれません。
また葉桜でも囲んで、どうでもいいような話をしながらお酒でも飲みたいですね。
今日、ふたりの女子高生がビルから飛び降りたみたいです。きっと世間の無関心を呪いながら、彼女たちは飛び降りたのでしょう。あの頃は無敵というよりも、無鉄砲でした。白紙の進路希望調査書を前に、「ガッコウなんて燃やしてやりたいね。」、なんて。今では鉄砲の持ち方も忘れてしまったけれど。
共産主義の元で蛤はよく育つようです。
近頃は景気も悪く、物価も上がるばかりです。
黄ばんだ畳の上で、ステルス値上げで底上げされたスカスカのコンビニ弁当を頬張りながら、今日も。
島の向こうからやってきた黄色い砂は、人々の涙を攫ってゆきました。
気まぐれに応募した雑誌の俳句の投稿欄。今日も僕の作品が載っていないことに安心しました。あぁ、これでまた投稿することができるなぁ。

でーでーぽっぽ。でーぽっぽ。

また会える日を楽しみにしています。それまでどうか、お元気で。


                                                        敬具

僕より




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