オーパーツ

匿っている。ずっと匿っている。何を匿っている?それは世間では心と呼ばれていたり、ホンネと呼ばれていたりする。らしい。

雨の日。濡れたアスファルトに映るまちが、彼女の艶やかな髪のようで。僕の胸はギュッとなった。この街には思い出が散りばめられすぎている。

明日があるかも分からないのに、明日を生きることがまるで決まっているかのように早足で通り過ぎる人びと。都会の喧騒みたいで、僕はどうしてもその早足についていけなくて、いつも置いていかれることを選んでいる。

溶け落ちたろうそくの蝋をもう一度かき集めれば、ろうそくの永久機関ができる。それはテセウスのパラドックス。

目を閉じた時にだけ現れるプラネタリウム。ねーんねんころーりーよーこーろーりーよ、坊やは良い子だねんねしな。

痛んだって傷んだって悼んだって。あの頃は成長痛があるのは背骨から皮膚を食い破って翅が生えてくるからだって信じて疑わなかった。


今はそう、死にたいより詩にたい。



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