ロールキャベツ【再掲】
私の生活から誰かが消えるのが怖い。そう思っていたがたぶんそれは逆で、ほんとうは誰かの生活の一部から自分という存在が消えることに計り知れない恐怖を感じているのだと思う。いつも下を向いて歩いているのに、気まぐれでふと上を向いて歩いた時に気が付いた星空の綺麗さだとか、卵を割った時に双子だった時のほんの少しの喜びだとか、起きがけで悪夢から覚めて流す涙の冷たさだとか。そういう些細だけど大切な、人と共有したくなるような生活のひと時を失って自分が空っぽな人間になってゆくのが怖い。
だからそろそろ人間を辞めて、カモノハシにでもなろうと思います。
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