アークナイツ @ 2023-11-04

いやー今回も長かった。あまりこのような苦言を言うものでもないかもしれないが、日本の公式放送は無駄に長すぎる。大陸版の高密度短時間で最後まで飽きさせない公式放送に慣れ親しんでしまうと最後まで見るのが苦痛ですらある。無駄話ばかりで本題に入らないあたりが日本企業の典型的な会議体のようであるが、これは我々の文化なのだろうか。

まぁいい。これで公式に告知されたが、11/7より四周年イベント「孤星」が開幕する。今回のイベントは色々とアークナイツ世界の裏設定が明かされると聞いているが、具体的なネタバレは一切見ていないため、どのような内容であるか今から実に楽しみだ。

そしてもちろん・・・1番の楽しみは新オペレーターの各位だろう。


異格サイレンス

私の知っている限り、残念ながら大陸兄貴たちからの評価は非常に低い。やはりメガネを失ったのが一部の熱狂的なファンからの支持を失った理由ではないだろうか。ウタゲもメガネを装備することで新たな支持を得たことであるし、安易にメガネ娘からメガネを奪ってはならないと肝に銘じてほしい。

ヴィジュアル面におけるメガネ弱体化は明らかだが、性能面での評価はいかがだろうか。祈祷師ということで期待されるのは加護効果によるダメージ減少だろう。まずはそこにスポットを当てよう。

攻撃範囲内の味方に10%の加護を付与する。
対象のHPが少なくなるほど効果が大きくなる
(HP30%未満時、最大24%まで増加)

https://arknights.wikiru.jp/?%E6%B7%AC%E7%BE%BD%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9

うーん、正直このHP制限は必要だっただろうか?現状の祈祷師であるクー姉と比較してみよう。

攻撃範囲内のHPが70%超の味方に14%(+2%)の加護状態を付与する。

https://arknights.wikiru.jp/?%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9

一見すると異格サイレンスのほうが上位互換に見えるかもしれないが、HP満タンの状態からワンパンで殺しにくるような敵に対抗するケースではクー姉のほうが防げる量が多くなってしまう。逆に数多くの小さいダメージで削りにくるような場合であればサイレンスの強みが生きるわけだが、肌感で言うとHPが残り3割まで失われているのに24%しか軽減できないようでは、到底踏みとどまれないのではないだろうか。

HPのリジェネも所有しているのだがこれまたHPの量に厳しい制限があり、かつその量も弱すぎる。

攻撃範囲内のHP50%未満の味方を1秒毎に淬羽サイレンスの攻撃力の5%(+1%)回復する
ライン生命陣営のオペレーターは回復量が2倍になる

攻撃力の6%ではたったの30毎秒ほどにしかならない。★4オペレーターのパフューマーさんですら、モジュールが必要とはいえ、一切の制限なく配置した全てのオペレーターが秒間28回復可能であることを考えると相当マイルドな性能に抑えられていると言わざるを得ないだろう。それともライン生命とセットで使うことが前提なのだろうか?

スキルもパッとしない。S2は一見優秀そうに見えて、濁心スカジのように攻撃範囲の延長になるわけではないため付与できるのが素質1=加護のみ。特化3と低ライフ状態を組み合わせれば6割を超える加護効果が得られ驚異的だが、持続時間も物足りないという大きな問題点を持つ。例えばシャマレのモルテは事前に貯めておくことで2回連続配置=最大30秒間の攻撃力半減を得られるというテクがあるのだが、サイレンスのS2はスキルを発動していない限りドローンが置けないという仕様になっており同じようなテクが使えない。
 S3についても、食いしばりは優秀だが1戦闘に2回のみという発動制限がのしかかり、S3で強化される素質1や回復を目当てに使おうとすると大きな足枷になってしまう。

以上、少なくともグレイディーアだのルーメンだのといった超強力だった配布★6オペレーターと比較すると残念ながら顕著に見取りすると言わざるを得ない。それでも加護によるダメージ軽減は貴重であるから必ず出番はあるはずだとは思うが・・・やはりメガネを失わなければこんなことには・・・


ホルハイヤ

声が私の事前の想像と全然違った。もっとお姉さん系だと思っていたが、このボイスであの表情であるから「良い」のだな、なるほど理解した。確かにその通りだ。

性能面を言うと、素質1が一見面白そうに見えるのだが・・・

飛行ユニットを攻撃する時、攻撃力が120%(+3%)に上昇し、特殊能力を3秒間無効化する。
 
モジュールCCR-Xを装備することで以下のように変化:
飛行ユニットを攻撃する時、攻撃力が135%に上昇し、特殊能力を5秒間無効化する。

https://arknights.wikiru.jp/?%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%A4

5秒の能力無効化は非常に大きい。能力無効化と言われると当然永続的に敵を封じ込められるラップランドを思い浮かべるわけだが、しかし残念ながらホルハイヤの当該素質ではそのような汎用性は決して持ち得ない。相手が飛行ならともかく、地上的ならば自らのスキルで相手を浮遊させてそこに攻撃を当てなければならないのだが、S1はチャージが3回のため長時間の能力封じは不可能、S2は15%という確率に左右され、S3は攻撃間隔が3秒に伸びる関係で浮遊した敵に攻撃が当たらない。高台から能力封じがしたいだけなら、ケーちゃんにクッソ重たい槍でもブン投げてもらうほうがよほど安定している。

訂正、今調べたら「S3は浮遊させてからダメージ」という内部処理になっているらしく、つまり浮遊が通る敵であれば確定で能力封じが可能らしいぞ。これはワンチャン面白いかもしれない。ただし1レーンには3秒おきに1発しか竜巻が飛ばず、これが単体ヒットしかしないため、見た目のイメージに反して物量飽和攻撃に対して弱いのは看過できない。

所持必須のオペレーターでは断じてないが、まぁ使い所はあるだろうし、面白く使う方法もきっとあるだろう。


ミュルジス

今回の主役であり、高い見た目性能と声優性能のため中国人ドクター諸君からも大変に愛されているようである。私はと言うと聞けば聞くほどナヒーダを思い起こしてしまう。緑だし、エルフだし。無論背丈は違うが。

性能面も「味方のコピーを作る」という大変ユニークで面白いものだ。編成中の他オペレーターであれば前衛でも重装でも狙撃でも術師でも医療ですらも、誰でも無料でコピーして使える。私がチワワをヴィジェルくん呼ばわりし今日に至るまで一才育てる気がなかった最大の理由はこれで、彼はパッセンジャーのように修正によって弱者救済されるどころかミュルジスの登場により完全に選手生命を絶たれてしまうのである。

チワワの価値は先鋒にも関わらず(HP1100かつ防御317しかない犬が死なない限り)3ブロックが維持でき、25秒おきに犬の首が復活するためある程度の持久力を持ち、かつ敵をブロックしている限りは高い攻撃速度と攻撃力を発揮できる点なのだが・・・

  • ミュルジスの召喚体はほとんど一切のデメリットなくホシグマだのニェンだのマドロックだのといったガチの3ブロック重装とほぼ同等の性能の3ブロックに変化できる。ダメ押しトドメに攻撃力と防御力を最大250まで奪取できてしまうため下手するとコピー元より強くなってしまう。

  • S2により35秒おきに15秒間、毎秒最大HPの5%回復と25%の加護を得るため生存性もバッチリ。繰り返すがホシグマに毎秒最大HPの5%回復と25%の加護が付くのである。こんなバケモンがそうそう死ぬわけがない。もちろん、仮に何らかの理由でやられたとしても25秒後には完全に元通りである。

    • 対するチワワは

      • 素質で25秒ごとに首1つ回復だが、一度に首1つしか回復しないため、完全撃破されてしまうと首3本の状態に戻るには75秒も必要

      • S1で21秒ごとに首1つ回復

      • S2で敵に齧り付いた時に、5秒に1回最大HPの20%を回復。最大効率でも1秒あたり4%しか回復していない、無論スキルのチャージやストックはない。

      • だんだん比べるのも可哀想になってきた

  • もう一つの長所である攻撃速度と攻撃力についても、ミュルジスは罠師や速射手をコピーすることでより高度に対応できてしまう。S3で運用すればバインドすらも付与可能。

  • ダメ押しトドメにミュルジスのコスト回復量はS2/S3ともに35秒ごとに15秒ローテで即時+15

    • ヴィジェルのS1は21秒ごとに7。このスキルなら確かにミュルジスのコスト回復量を上回ることができるが、その代わり戦闘能力は皆無になる

    • ヴィジェルのS2は5秒に1回攻撃すれば2回復であるため、仮に一回も休まず5秒に1回齧り付いても35秒で14しか回復しない。犬が敵を撃破すればさらに上振れもありえるが、現実的にはこれほど理想的にコストを継続回復できるシーンはない。

    • ヴィジェルのS3は同じ35秒おきに15秒のローテーションなのだが、彼のコスト回復は15秒かけて12回復であり大きく劣る

    • つまりコスト回復を担当する先鋒としての本分さえも基本ミュルジスに劣る

以上、どこをどう列挙しても残念ながらチワワでは太刀打ちのしようがない。一応、ミュルジスを輝かせるためにはコピー元となるオペレーターを部隊編成に加えなければならないと言う問題があったり、ミュルジスでは3ブロックと攻撃速度を同時に両立させるのが難しいという問題点もあるため100%完全絶対上位互換とは言えないのだが、およそ9割は上位互換と呼んで差し支えないだろう。いくら配布★6と限定★6という身分の違いがあるとは言え、この仕打ちはいくらなんでもやりすぎではないだろうか。ここまで露骨に後から出てきた同職分のオペレーターが以前のオペレーターを亡き者にするというケースは・・・ああ、つい最近発生したばかりだったな、申し訳ない。

アークナイツもソシャゲらしく露骨に集金を行うフェーズに入ってきたということだろう。こればかりはガチャを回すゲームの性である。諦めて受け入れるしかない、むしろ4年間もよくぞインフレを抑制して長持ちさせた方だ。


以下蛇足

ここまで書くとミュルジスは強キャラなのかという話になるのだが、私の知っている限りだと、先行する大陸版においてもそれほど重宝されているように見えない。少なくともイネスよりは重宝されていない。

その理由を少し自分なりに考えてみたのだが「コピー元を編成しているのであれば、ミュルジスにコピーさせて使うのではなく、コストを稼いでからコピー元のオペレーターをそのまま配置して使えば良くね」と言うことではないだろうか?コピー元を必要とするため、統合戦略のような自由編成に制限がかかるモードとの相性も良くないだろうな。せっかくチワワ君よりあらゆる面で優れたオペレーターを限定で作ったにも関わらず大して重宝されないというのは、実は戦術家という職分がアークナイツにおいて必須ではないということの証明になってしまっているのかもしれない。思い返せばビーンストークが出てくる場面は永久に復活するデコイが欲しいだけだし、ブラックナイトが出てくる場面は永久に睡眠ハメがしたいだけだ。いずれの場合も純粋に先鋒が欲しいから使われるというケースはほぼないわけで実に皮肉だ。これすなわち、「テンニンカで旗を振ってただちに強オペレーターを置けばそれで解決」というアークナイツというゲームが先鋒という職種に抱える根本的な問題を表しているとも言える。


以下蛇足の蛇足

公式生放送が長いとか文句を垂れておきながら、その文句を垂れている本人が嬉々としてこんなクソ長い駄文を書き散らかすのだから始末が悪い。