【優】Grounded - エンディング到達まで @ 2022-11-07
裏庭でアリさんやてんとう虫さんに囲まれながらのんびりとしたサバイバル生活を送りたいと思いこのゲームを買ったはずなのに、いつの間にやら本作のプレイ体験は超巨大な蜘蛛・醜悪な感染胞子に汚染されたゾンビてんとう虫・ひたすら耳元でブンブンうるさいカトンボ・カブトムシ装甲師団の群れ等々、只々恐怖と憎悪と絶望に満ち満ちた昆虫の皮を被った悪鬼羅刹たちとエルデンリング並の死闘を繰り広げるフロムソフトウェアゲーと化してしまった。今からでも遅くないから本作は日本語タイトルをムーシソウルに変えたほうがいい。それともアレか、Groundedというのは我々プレイヤーが無残にも地面を床ペロするからGroundedという意味か?
だが勘違いしないでほしい、私がこのゲームをソウルライクであると説いたのにはれっきとした意味がある。すなわちGroundedのゲーム体験はソウルライクと同等に苦難に満ちたものであるが、あなたの努力と、ちょっとの設定変更と、外部攻略サイトの力を持ってすれば、必ず勝利という結果により報われるゲームバランスに仕上がっているのだ。
Steam上の記録によると、私が本作のゲームクリアまでに要した時間は50時間であった。ただし、これにはEarly Access時にプレイした時間も10時間ほど含まれている。プレイ条件は全てソロプレイであり、全体の半分をNormal難易度、攻略情報無しでプレイし、残りの半分をMild難易度および攻略情報有りでプレイした。マルチプレイの場合、攻略情報の有無、難易度設定、探索範囲の広さなどにより大きくプレイ時間は変動することが予想されるが、最低でも30時間、より長く深く楽しみたいなら70時間程度は遊び続けることが可能だろう。
長所
ゲーム自体の完成度は文句なし。面白い。何度も途中で投げ出しそうになる苦難を味わったが、それでも最後までめげずに、他のゲームに浮気することもなくプレイを終わらせることができたのは、ひとえに本作が純粋に良くできたゲームであり、プレイしていて楽しいと私に思わせてくれたからだ。そこに疑いの余地はない。
短所
本作は1990年代を舞台とするゲームなのだが、そのゲームプレイもまるで1990年代昔ながらのゲームを模倣したかのようだ。とにかく苦痛が多く、しんどく、長い。ゲームシステム自体はもちろん令和の世にそぐうものであるが、ゲームバランスはそうではないと言える。Mild難易度に下げたり、攻略情報を見たり、常に4人でプレイするなどの自衛策を取ることを強く推奨する。
しかしながら、一部の謎解き要素やジャンプアクション要素、そして最後の強制タワーディフェンス等、難易度を下げてもイラっとする要素が満載である。単に無視して良い謎解き要素なら無視すればよいのだが、いくつかはクリアのために必須、いくつかはクリアのために倒さなければならない敵を倒すために事実上必須といった有様なのである。
ネタバレなしにグッドエンディングに到達するのはなかなか困難だと言える。そしてバッドエンディングの内容が正直、エグい。これだけ苦労してこのバッドエンディングではちょっと・・・救いがなさすぎやしないか?
一部のグラフィック設定、具体的には本作特有の強烈なDepth of Fieldをゲーム内から無効にすることができない。もちろん雰囲気を大事にしたいという開発側の考えは尊重するが、正直あのキツいDoFの中で本作をプレイしたいとは到底思えない。切ったほうが圧倒的に快適であるし、後半は庭の端から端、隅から隅までを超長距離を移動するため、DoFありのままではゲームプレイに支障が出てしまうのである。
総括。もともと昆虫がテーマである以上、虫嫌いのプレイヤーには断じて推奨できない、万人向けではないゲームであったわけだが、ある意味それを逆手に取ったのだろうか。本作のゲームプレイのバランスもまた万人向けとは言えない難しさなのである。一方で難易度設定はいつでも変更可能だし、設定を下げた上で攻略情報を活用すれば苦難はあれど十分にソロでもクリアできることもまた証明された。基本的にはあらゆるゲーマーに大いに推奨できる名作だ。まさに「プレイしごたえのあるゲーム」というものを久しぶりに楽しむことができたのである。仲間を見つけて切磋琢磨するなり、難易度を下げて攻略情報を活用するなりして、どうにか最後のエンディングまでたどり着いてほしい。