Ruinarch @ 2020-09-12

【良】コンセプトだけなら私的GotYをその場で進呈して差し上げたい。Rimworldをプレイしながら「自分でコロニー運営するの面倒だから、他人が運営しているコロニーをメチャクチャに破壊して遊びたい」とか「自分がカサンドラやランディの立場になりたい」と思ったりしたことはないだろうか?本作はそんな夢のような体験を提供してくれる。私の愛する蟻ん子ゲームの極致と言っても差し支えないのだが、ただしかし現状の完成度がいくらなんでも・・・きちんと完成さえしてくれれば私の歴史に名を残すだろう。

長所
・究極の蟻ん子ゲームとして、一人一人すべての住人に個性のあるAIが運営するRimworldのようなコロニーを、直接的・間接的・物理的・魔法的・心理的にあらゆる方法で崩壊させ破壊し尽くすという、ユニークかつ私が長年探し求め続けていたゲーム体験。
・物理的に街を破壊するプレイスタイルなら比較的に平凡で他にも似たような作品を探すことができそうなのだが、心理的に街を崩壊させるゲームプレイに関しては特にユニークで、おそらく世界初だと思われる。具体的には戦闘力も高く地位も高い権力者の夫婦を心理操作で不倫させ、コトが起きたら相方に告げ口させてお互いに血みどろの大喧嘩をさせてみるだの、街最強の英雄をヴァンパイアや窃盗に仕立て上げて犯罪者にし街のお尋ね者にしてしまうだの、中のいい恋人同士の関係を利用するためサキュバスを変身させて送り込んで文字通り「悩殺」してしまうだの、権力闘争に敗れてすべてを失い絶望した人間を拉致って洗脳してカルトの配下として街に戻し、こっそりと他人の家に毒を仕掛けさせるだの、やりたい放題好き放題に楽しめる。特に千里眼を使って街の中で起きたイベントを収集し、それを特定の人間に「告げ口」して心理状態を操作するというシステムが前代未聞で本当によく出来ている。
・物理的に街を破壊する方も十分すぎるほど面白い。シンプルに攻撃魔法を使うにしても、例えば地面を毒の沼にしてから燃やして大爆発を引き起こしてみるとか、雨を降らせてから雷を放つことでまとめて感電死させるとか。スケルトンを墓から蘇らせて従わせてみてもいいし、デーモンを召喚してもいい、周りに生息するモンスターを捉えて繁殖させて自らの手下としてもいい、ゾンビウィルスを植え付けてパンデミックを起こしてもいい。とにかくあらゆるクリエイティブな街の滅ぼし方が楽しめる。
・ゲームを盛り上げるランダムイベントも楽しい。例えば住人にネクロノミコンを装備させてネクロマンサーに仕立て上げてしまい自らの代わりに世界を滅ぼしてもらうとか。

短所
・コンセプトは私の性癖そのものを完全に具現化した究極のゲームなのだが、いかんせん完成度があまりにも破滅的に悪い。というか、正確に申し上げると、本作はゲームを名乗るのにふさわしくない。なぜなら一度強ムーブを覚えてしまえばあとは基本的に負けることが出来ないからである。理由は簡単で、直接攻撃的な干渉をするか、人間どもが偶然我々の領地を発見するかしない限り、警戒度が上がらないからである。従って人間をヴァンパイアにしたり不倫させ子にして告げ口しまくったりゾンビウィルスをばらまいておいたり蜘蛛牧場を作って産めよ増やせよ蜘蛛軍団を作って街を襲わせる限りは一切警戒度が上昇せず、従って敵がこちらに襲いかかってくることもなく、ゆっくりじっくり破滅させることが可能になっているからだ。ゲームバランスのことは現状忘れて、人間関係崩壊シミュレーターとしてどう街を破壊するかを楽しむものだと考えなければならない。
・しかし人間関係崩壊シミュレーターとして遊ぶにはあまりにもリプレイ性が足りない。なにせランダムマップすら無いし、固定マップはチュートリアルを除くと5つしかない。
・グラフィックも、基本的に2Dの見下ろし型マップが大好きな私ですら目を覆いたくなる次元で手抜きっぽい。
・ランダムイベントも発想は素晴らしいのだが実装がほとんど進んでいない。種類も少ないし、例えばアヌビスのアンクというイベントアイテムによって死んだ住人が幽霊になって我々の陣地に復讐しようと攻め込んでくるのだが、この幽霊が住人判定ではなくただのモンスター判定になっているため簡単にモンスターを捉える技で捉えて檻に閉じ込めてそのまま処刑することが可能で文字通り何の役にも立たない。このようなバランス的問題が無数に存在する。
・この完成度で2000円は流石にぼったくり・・・とは言わないが、まぁ相当割高である。将来に投資したと思わなければ正直もったいなく感じる。

まさに私の性癖ど真ん中に突き刺さるゲームだっただけに完成度が低かったのは本当に残念だが、しかしながらすでに神ゲーの片鱗も見せつけている。心理操作と告げ口を使って少しずつ住人の疑心暗鬼を煽り、次第にお互いがお互いに他人の部屋に罠を仕掛けて暗殺を試みだしたり白昼堂々クロスボウを撃ち合ったりするのをゲラゲラ笑いながら鑑賞し、最後に生き残った哀れな人間に隕石と雷を落として抹殺するのは何者にも代えがたい体験だ。頼むから、1年かかっても2年かかっても構わないから、見事なゲームに完成させてほしいと切に祈る。または誰でもいい、このゲームのコンセプトをパクって見事に完成させてくれたって構わないぞ。


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とりあえず現地点でこれしか遊ぶ内容がないのは流石に厳しい。


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一方でプレイスタイルに合わせて三種類のクラスから選べ、しかもそれぞれのクラスごとに細かい何を持ち込めるかカスタマイズができるのは最高に素晴らしい。個人的には一番左のPuppetmasterか真ん中のこのLichのどっちかが好きだ。一番右は直接攻撃ばかりで、残念ながら本作の現状の攻略セオリーにそぐわない。


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とりま、チュートリアルを開始するとこんな感じでスタートするのだが、これだけ見せられても一体全体どうしろというのか。パッと見、Rimworldみたいにマップ上に複数のタイルがあって、タイルを選んでそこからスタートするのではないかと思っていたのだが・・・

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選択した結果こうなった。近えよ!どうやら先程のヘックスマップがこちらのゲーム画面にそのまま反映されているらしい。私の本拠地があるところの左下にあるのが山で、その左に4箇所、よく見ると建物の塊があるのが何となく分かるかと思う。先程お見せしたヘックスマップとよく見比べてみるとなんとなくどういう対応になっているかが理解できるはずだ。


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こちらのほうが分かりやすいだろうか、これはEyeと呼ばれる建造物を配置しようとしているところだ。この光り輝くエリアがヘックスマップの1ヘックスに相当すると思っていただければいい。


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キャラのパラメータや特性、家の作りなど、どこをとっても良い意味でRimworldを彷彿とさせてくれる。


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では早速実際のプレイを見ていこう。この砂漠の町では、2日目の夜にしてすでに住人同士の大乱闘が起きつつある。左で戦ってるのは私が吸血鬼に仕立て上げたKiplingくんとその妻Patsy、画面中央右で大乱闘しているのが殺人衝動を抑えられなくなったこの街最強の聖騎士ラスプーチンと街の権力者2人だ。いい感じに厄介な連中同士が潰し合ってくれている。


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さてKiplingに血を吸われていたPatsyは殴り返し、見事返り討ちに成功。


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だがその直後、このPatsy、目の前を歩いていた無関係なTanyaを勝手にKipling殺しに仕立て上げ始める。いくら吸血鬼化していたとはいえ、元夫を自らぶっ殺した上に無関係な住人に罪をなすりつけようとするとはどこまで性根腐ってるんだこのビッチ。非常に面白いのが本作の「罪」はあくまで目撃情報によって成り立っており、ご覧のようにキャラクターが嘘の供述をすることがある。この嘘の情報を噂として集め、私が悪魔の力で他人に「告げ口」することで、嘘を本当にして罪をでっち上げることもできるのだ。


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すると死んでも死にきれなかったのか、Kiplingくんの幽霊が突然死体から湧いてきてPatsyに殴りかかる。何だこの神展開、神ゲーか?


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すると私のペットの蜘蛛たちも祭りを盛り上げようと突如参戦。攻撃命令など出していないのだが、偶然このタイミングで街を襲いはじめた。いいね、盛り上がってきた。決めた、今晩でこの街を滅ぼしてやろう。


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まずは麻痺を食らって自宅で動けなくなっているモーゼくんの隣にファイアエレメンタルを3匹おかわり召喚。当然誰にも助けてもらえず哀れモーゼくんは焼死。証拠も一切残っていないので警戒度も上がらない。

そのまま蜘蛛の大群とファイアエレメンタルたちが街を灰燼に帰す。


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最後に一人生き残っていた貴族Ulmarを捕獲。見ての通りあらゆるバステがついているため簡単に捕獲調教出来た。あの火災地獄の中を生き残れたのはFireproofがついているからだったようだ、運のいい奴め。これからじっくり調教してやるからな。


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「バステのついたキャラを牢屋に捕獲して洗脳調教する」という、まるでDMMだのDLSiteだので好評発売中のエロ同人ゲーみたいな字面のワクテカ展開になったのだが、あろうことかこのヒゲジジイ平然と牢屋から脱獄しやがったではないか。どうやら最後の一人になったため自動的にこの街の君主扱いになっており、君主はいくらバステだらけでも早々簡単には調教成功しないということらしい。仕方がないので全戦力で始末しに向かうが、こんだけボコボコにしてやったにもかかわらず鬼のような強さで蜘蛛を蹴散らしていく。まぁいい、貴様が抵抗するなら私は街の食料庫をイナゴの大群で破壊するまでだ。そのまま飢えて死ぬまで無駄な抵抗を繰り広げるがいい。ついでに蜘蛛に敗北して強制種付け産卵エロシーン送りにでもされるがいいわ、わっはっは。


あれ?本作、実はエロ同人にしたほうがポテンシャルを発揮できるのでは?