Apex Legends @ 2019-02-20

【秀】全ゲーマーにプレイを強く推奨。PUBGおよびFortniteをプレイして飽きた人や合わなかった人、バトルロワイヤルというジャンルに飽き飽きしていた人には特に強く推奨。

長所
・クラス制、3人1組のチーム戦のみ、ジャンプマスター制度、死亡後のリスポーン制度、驚異的な完成度のPingシステムなど、これまでのバトルロワイヤルゲームに見られなかった革新的な機構を数多く実装。
・とにかく初心者に優しい作り。PUBGのように何が起きているのかわからないまま終わったり、Fortniteのように圧倒的な腕の差と建築テクの差の前に何も出来ないまま射殺されて終わることはなく、理不尽さを感じるシーンを可能な限り減らすように随所に渡って設計されている。万一やられてしまったとしてもリスポーンの可能性が残されている。
・細部に至るまで狂気がかったレベルの作り込み。パフォーマンストラブル、バグ、サーバトラブル、チーターなどの諸問題についても非常に少なく、全体の完成度が異常なほど高い。他のフルプライスのAAAタイトルと比較しても遥かに上回る完成度。にもかかわらず、基本無料。

短所
・課金施策については大いに不安が残る。最初の課金アイテムイベントとして開始されたバレンタインイベントの内容については残念の一言に尽きる。今後の状況を注視したい。
・イベント運営については始まったばかりでまだ何も判断できない。

これほどの衝撃作に出会ったのはFortnite以来だ。間違いなくGame of the Year 2019の最有力ノミネート候補となるだろう。


以下蛇足

私はバトルロワイヤルというゲームジャンルが大嫌いだ。

私がバトルロワイヤルというゲームジャンルに初めて出会ったのはARMA3のカスタムマップ戦だった。当時のバトルロワイヤルはARMA3のマルチプレイの対戦のルール程度のもので、ARMA3のマルチプレイが抱えていた問題点を解決するために発明されたルールだったと記憶している。ARMA3は徹底的にリアル系のFPSだったため戦場がとにかく広く、敵がどこにいるのかわからず地平線の彼方の豆粒同士が撃ち合って終わるという有様であった。さらにARMA3の舞台は広いとはいえ同じ島で、毎回同じマップで戦っていると同じ箇所が戦場になってしまうという問題点を抱えていた。そこで誰が思いついたのか、島全体にランダムに「安全領域」が設定され、時間経過とともにその安全領域が狭まっていくことで人がだんだんと集まり自発的かつ偶発的に面白い戦闘が発生するように仕向けた、というのがこのバトルロワイヤルの始まりであった。

このルールは当時大成功を収め、ARMA3の大変つまらないマルチプレイを華やかにしてくれた。当時からTwitchでもストリーミングされる程度には知名度のある遊び方だったと思う。これが好評だったためDayZにも導入された。ひょっとしたらDayZが先でARMA3があとだったのかもしれないが今となっては私にはもうわからない。さらにH1Z1も続いた。

そんな調子でバトルロワイヤルという遊び方が既存のゲームに広まっている頃に突然彗星のごとく現れたのがPUBGだ。こいつはバトルロワイヤルのためだけに生まれてきた、世界初のバトルロワイヤルしかゲームモードのないゲームだった。当然私はゲーム仲間たちと一緒に真っ先に飛びついて夢中になった。

しかしながら数ヶ月が経ち、世間でPUBGの知名度が上がってくる頃になると、ありとあらゆる問題点が噴出し始めた。重いとか弾の当たり判定がおかしいとか(遥か大昔のPUBGはスコープを付けていると弾道落下を含めても狙った点に弾が着弾しないという冗談みたいなバグ?仕様?を抱えていた時代があった)、UIがとにかく不親切で装備の入れ替えも荷物の整理もひたすらだるいとか、味方同士の連携を取る手段はDiscordチャット程度しかないとか・・・フラストレーションが地味に溜まっていった。

そしてとどめを刺したのが人口増加に伴う「問題プレイヤー」の増加だ。チーターは言うに及ばないが、我々ド素人のクソザコ勢に言わせれば上手すぎるプリメイドチームの連中も問題プレイヤー以外の何物でもなかった。なにせ撃ち合いになればAimの差と連携の差で絶対に勝てないのである。結果我々のようなクソザコおっさん勢がドン勝できるゲーム環境は一瞬で失われ、ただ30分かけて必死で集めた装備を10秒で失うだけのゲームとなったのだ。

そんなこんなでPUBGにも飽き飽きしてプレイ頻度もほぼゼロになりつつあった頃に、第二の彗星が突然また地球に降り注いできた。Fortniteのバトルロワイヤルへのピボットだ。もはや知っている人もいないであろうが、Fortniteが開発開始された当初は4人制PvE Coopゲームの絶頂期で、Fortniteは4人で建築して城を作りながらゾンビの群れから身を守るという内容のゲームだったのだ。それが突然基本無料でバトルロワイヤルとか言い出したのだから当時の私は半狂乱状態になった。ふざけやがってEpic、ちょっとバトルロワイヤルが流行ってるからってそんな尻軽女みたいな真似をと。

ところが試しにプレイした瞬間、私の手のひらはドリルのごとくくるくる裏返ることになった。完成度が異常なほど高いのだ。そしてPUBGの抱えるありとあらゆる問題点をFortniteは見事に解決していた。重くて遅くてモサモサしたプレイ感覚の人間同士が米粒を撃ち合うようなつまらない戦いは一変し、軽い・速い・撃っていて楽しい、さらに射撃が当たっているか当たっていないかもひと目で分かるわかりやすさ、まさにUnrealシリーズを作ったEpicらしい見事なシューター感と軽快なゲームエンジン、そして全く新しい建築システムでカバーがない場所に即席のカバーを立てて籠城する楽しさ、すべてが異次元だった。一瞬でPUBGをアンインストールしてのめり込んだ。

が、この蜜月もまた長くは続かなかった。例によって人口が増加し「問題プレイヤー」が増えることになる。今度はチーターではない。純然たるガチ勢の皆様こそが我々ウンコ共にとっての問題プレイヤーである。Fortniteはアクション性の高いシューター感となっているのだが、それこそがまさに仇となる形となってしまった。UnrealでもQuake Arenaでもそうだが、アクション性が高いシューターにおいては腕の差が全てを覆す。そしてその傾向を決定的にしてしまったのが、まさに本作オリジナルの要素、建築であった。誰が思いついたのか知らないが、銃撃戦が始まるやいなや足元から突然5階建てのビルディングが生えてくるのが当たり前となってしまったのである。我々クソ雑魚ナメクジのおっさんには真似すら出来ないプレイングであった。こうしてVictory Royalなど未来永劫望むべくもない絶望の世界が完成した。

こうしてFortniteという完成度も運営も素晴らしい楽園そのものであったゲームから追放されたオワコンおっさんズの我々は、次のFortniteを夢見て雨後の筍のごとく生えてきたありとあらゆるバトルロワイヤルゲームを見て、手を出し、そして絶望し続けた。それらは単にそれまで作っていたものを何も考えずに脳死しながらバトルロワイヤルにピボットした駄作か、無駄に何も面白くない要素でオリジナリティを出そうとして失敗したゴミか、完成度がアルファ版にも満たないような汚物か、それら複数を兼ね備えた電子産業廃棄物のいずれかであった。一つの例外もなく。CoD:BO4のバトルロワイヤルモードだけは唯一少し見るに耐えるものであったが、それもフルプライスゲームを買う必要があり、既にバトルロワイヤルというジャンルそのものに絶望していたこの私にはなんの興味も惹かれないものであった。

100を超えるバトルロワイヤルが新たに生まれてきたと思うが、それら全て一つとして存在する価値のあるものはなかった。バトルロワイヤルというジャンルはリアル系のPUBGとスポーツ系のFortniteで終わりだと私に思い込ませるには十分であった。まだ最後の希望としてチーム戦メインのOverwatchのようなバトルロワイヤルも登場するかもしれないが、Overwatch自体がすでにオワコン感を漂わせている今、チーム戦メインというのも成立すまい、もはやこのジャンルに未来はないのだと私は思っていた。

そんなこんなで2019年の2月を迎えた。私は日課のゲームサイト巡りとReddit巡りを続けていたのだ。そうしたらTitanfallのチームがTitanfallを元にバトルロワイヤルゲームを作って突然F2Pでリリースしたらしいという速報が飛び込んできた。私は無視した。またバトルロワイヤルか、Titanfallの開発元も堕ちたものだ、おまけにタイタンが出てこないだと?何を考えているのか、そこまで金がほしいのかこのクソどもは、どうせEAの差金だろう、終わってるなゲーム業界は、などと、そう思い込んでいたのだ。

そうして翌日またRedditを見た。プレイヤー数が60万人になっていたとのことであった。私はまた無視した。基本無料でアホが60万人も釣れて満足か、と思い込んでいたのだ。

そうしてまた翌日Redditを見た。今度はプレイヤー数が250万人になっていた。私はついに無視ができなくなった。おかしい、いくらなんでもありえない、と。

そこでSubredditを探し、調べてみた。絶賛しか見つからなかった。おかしい。ありえない。タイタンが出てこないTitanfallもどきのクソゲーがこんなに絶賛されるはずがない。まだそう信じていた。

そうしてまた翌日Redditを見た。プレイヤー数は400万を超えていた。とうとう私は観念してTwitchでストリーマーの配信を見る決意をした。

見た。そうして目の前に信じがたい完成度の、楽園そのもののようなバトルロワイヤルゲームがあった。3時間ほどただひたすら「ありえない」と独り言をつぶやきながら放心していた。そして己のあまりの愚かさを延々と恥じ続けた。そのまま即座にOriginごとApex Legendsをダウンロードして朝までプレイし続けた。会社なんぞ知ったことではなかった。

そうして日が明けて、私はまだなんとかしてこのゲームに問題点があるに違いないと思い込み、どうせ一週間も経てば終わる、またFortniteのときのように我々クソ雑魚ナメクジは駆逐されて安息の地などなくなってしまうのだと心の何処かで思いながらプレイし続けた。

しかしながらたった今に至るまでプレイし続けてもただの一つも欠点を見つけることが出来なかった。確かに人が増えて全体的なプレイヤーのレベルは上がった。正面から撃ち負けることも増えた。それにもかかわらず私はApex Championになり続けた。別に私のAimが高校時代に戻ったわけではなかった。ただ同じチームの上手いプレイヤーを徹底的にサポートし続けるプレイスタイルを身に着けただけであった。こうしてApex Legendsが下手くそでも生きていける楽園なのだという確信を持つにいたり、感動してこの文章を書く決意を固めて今ここに筆を執っている。

私は未だかつてこれほどド下手くそに優しいマルチプレイヤーのPvPゲームをプレイしたことがない。断言してもいい。私はLoLもDotA2もさんざんプレイしたが、どちらも下手くそに居場所がないゲームであった。どれほど献身的にサポートに徹したつもりでも、ただFeederと罵られるばかりの毎日であった。しかしApex Legendsは違った。どんなに下手くそでも焦らずひたすら冷静に相手に撃ち返し、上手いプレイヤーが撃たれないように牽制し、グレネードを投げ、側面を警戒し、隠密行動に徹し、Care PackageとPhoenix Kitを分け続けた。そうして撃たれて死んでも十分に出番があった。こんなにマルチプレイで味方に貢献できている感覚があるのは本当に何年ぶりであろうか。

この初心者に優しいプレイ感覚を支えている要素はもちろんチーム戦とリスポーン制度が大きいが、それ以上に異常なほど長いTTK (Time To Kill/確定キル時間、武器でキルを取るまで射撃したときにかかる時間)が挙げられると思う。どの武器もマガジンが小さめに設定されており、本当にマガジン全部を相手に叩きつけないと殺しきれないほどである。いくら上級者でもそれほどの命中はなかなか難しい。このため撃たれた側もパニックにならず冷静に打ち返せば十分に勝ちの目がある。しかしながらアタッチメントで十分に武器をアップグレードすれば驚異的な戦闘力になり、上級者プレイヤーが一人で三タテを決めることも不可能ではないバランスに仕立て上げられている。この初心者にも優しいが上級者がアウトプレイする余地のある絶妙なバランスがこのゲームの真髄であると思う。翻ってみてみれば駄作と断言しても構わないBFV、なぜあれほどプレイが苦痛で駄作に思えたか、それはTTKの短さが要因の一つに挙げられると言わざるを得なかった。なにせ戦っている時間よりリスポーンして歩いている時間のほうが長いぐらいだ。短すぎるTTKはとにかくプレイに苦痛を与える。上手い人ならともかく。

さて、ここまでさんざん褒めちぎってきたが、いくばくかの懸念も既に見つかっている。それは課金要素だ。

先日はじめてのイベントということでバレンタインにちなんだアイテムがショップに並んだのだが、その価格設定があまりにもひどくてRedditが一時炎上状態になっていた。というのもバナーと銃スキン、キャラですら無いスキンが1100コインという高額設定になっていたのが一つ、そしてその値段もさることながら、ショップ内でのゲーム内通過の購入オプションが1000円で1000コイン、2000円で2150コイン、3000円で3500コインという設定になっていたのが火に油を注いだ。そう、1100コインのアイテムを買うために2000円を課金するしかないのである。同様に2200コインのアイテムを買うには3000円の課金が必要だ。こんなのほとんど詐欺師のやることだ。おおかたEAの金をむしるしか能がないゴキブリどもが入れ知恵したのであろうが・・・ゲームそのものの出来は完璧以外の何物でもないのに実に勿体無いことだ。

Fortniteはこのスキをついて、早速バレンタインイベントでバトルパスを無料配布するイベントを開始した。Fortniteはすでにシーズン7に突入しているが、ここまでバトルパスの運営については最高に定番があり、課金要素についても批判は非常に少ない、見事である。はたしてApex Legendsが課金要素でも完璧さを見せるかどうかは今後のお楽しみといったところか。