Dota 2 - Aghanim's Labyrinth @ 2020-07-22

【良】まさかこの私が再びDota2を遊ぶ日が来るとは。Dotaを知る者なら誰でも知っているAghanimの名を冠したこの新ゲームモード?イベント?は、ローグライク的ゲームプレイを名乗ってはいるが、ぶっちゃけ体験上は普段のDota2と大して変わらないように思える。要するに、不親切で、異常に難易度が高く、気が狂っている。野良でもマッチングするのは良い点だが。

長所
・Dota2のカスタムマップのようなゲームなのだが、実際カスタムマップとしてみても非常に良く出来ている。遥か大昔にWC3時代にいろんなカスタムマップをプレイして遊んでいた頃を思い出した。さすが公式である。
・Dota2のようなMOBAとローグライト的な遊びは相性が非常に良いということを実際に証明してくれた。他にMOBAでローグライト的な遊びができるゲームは見受けられず、ユニークな面白さがある。昨今、ローグライト系は人気を増しつつあるし、実際先日レビューしたGunfire Rebornのようにローグライト化される前の本家より遊べる作品すら見受けられつつある。ひょっとしたらだがLoLも似たようなゲームモードをパクってくるかもしれない。
・本作の難易度は高い。高いとかいう次元ではないぐらい高いかもしれない。しかし何度もプレイしていると分かってくるのだが、きちんと敵の予兆を見たり敵の動きを覚えて予測することでほとんどの攻撃は回避できるし、問題が起きる前に厄介な敵やオブジェクトを狙い撃ちして破壊することもできるようになっている。つまりちゃんとゲーマーとしてやり込んでプレイすればプレイするほど上達を感じられ、そしてクリアに近づくことができるのである。これはDota2にしろCS:GOにしろそうなのだが、ゲームに対する知識や腕の要素が非常に細かいところにまで反映される点がValveのゲームらしいところで、他のCoopゲームに類を見ない長所だ。絶対に中ダレしたり楽勝すぎてつまらないなんてことはない。Coopだというのに、最初から最後まで気が抜けないのが素晴らしい点だ。
・使えるヒーローが限られているのは良くも悪く一長一短な点だと思うが、選ばれているヒーローはどれも比較的によく考えられているという印象だ。もちろんバランス格差はあるがどれを選んでもそれなりに見せ場はあるだろう。それに数が多すぎるとタダでさえ複雑極まりない本作が更に面倒なことになってしまうに違いない。個人的にはNecrophosが使えないのが絶対に許しがたいのだが、まぁNecrophosなんて使えたらどう考えてもバランスが壊れてしまう。HeartstopperもUltもQもすべてが許されないだろう。
・アンロック要素もきちんと用意されているし、その内容もなかなか楽しい。アンロック要素をすべて開放するだけで相当な時間遊べる。
・本編Dota2のバトルパス所持者であれば、Aghanim's Labyrinthを進めるだけでバトルパス経験値をがっぽり稼ぐことができるので一粒で二度美味しいだろう。

短所
・本作は所詮Dota2である。すなわちDota2の問題点すべてがここに浮上する。一息で一気に言うなら、あらゆる一見さんを追い返す狂気のゲームシステムに不自然極まりないチュートリアル更には触っていてイライラする操作性に意味不明のUIと複雑過ぎるヒーローのスキルセットにアイテムセット、といったところだろうか。
・というか、Dota2が初めてのプレイヤーを連れてきてプレイさせるのはほぼ不可能という次元で複雑である。既存のLoLプレイヤーだったとしても、目の前で何が起きているのか理解できない次元でわからないと思う。
・ゲーム自体の完成度も、公式が気合を入れて作ったDota2のカスタムマップの一つ程度でしか無い。フルボイスだし、専用のスキルセットも用意されているし、Aghanim本人まで登場する点は見逃せないが、所詮はカスタムマップであり、バグも多ければ分かりづらい点も多く、操作についてもキャラクターを良くわからないボタンの上に移動させなくてはならないなど直感的ではない。先に進むためのドアが開かなくなって詰んでしまったこともあった。萎える。
・難易度が基本的に頭おかしい。普通、5段階の難易度の存在するゲームを作るなら、最初の1つ目なんて比較的簡単に作っておいて誰でもクリアできるようにするだろう。本作は全くそんなことがない。最初の難易度の地点でまともにクリアできる気がしない。それなりにDota2がわかっているプレイヤーだったとしても、10回ぐらいは死んで覚えないとならないだろう。
・野良でクリアできるかどうかは完全に運。味方4人のうち1人でも理解していない人間が居ると、相当難易度が上がってくる。2人理解していない人間がいたらまぁ無理だろう。繰り返すが、これは最低難易度での話だ。
・Dota2の楽しさの一部に、Talentやアイテムの性能が全体的に狂っているせいで狂ったように強くなって後半無双できるようになる、という点があると思っているのだが、このAghanim's Labyrinthでは敵の性能もキチガイみたいに高いので全く無双できない。雑魚のHPが平然と1万を超えるし、攻撃力は1000以上とか本当に勘弁していただきたい。いや、良く言えばバランスが取れているということなんだが。
・無駄に長い。長いだけならまだ許せるのだが、無駄に長くなる理由として各ステージに時限性がないので一部のヒーローや装備を駆使すれば延々と敵から逃げ続けられるからだ。それで勝って先に進めるならいいのだが、それでも10分とか延々と無駄に逃げ続けられるのを見ているのはダルくて仕方がない。

あらゆる一見さんを追い返す狂気のゲームシステムに不自然極まりないチュートリアル、触っていてイライラする操作性に意味不明のUIと複雑過ぎるスキルセットにアイテムセット、そして理不尽なほど高い難易度、これらすべてのハードルを無事乗り越えることができれば、非常に難易度が高く、それでいてやりごたえがあって爽快感もそこそこあり歯ごたえもある、長く遊べるCoopゲーム体験が待っているだろう。まぁ、最近の甘々なモバイルゲームやLoLとかいう婦女子がプレイするような甘えたゲームに浸っている連中には、本作の気が狂いすぎているゲーム環境に耐えるなんて到底無理だろう。素晴らしい長所を狂いすぎている短所が覆い隠しまくっている、いつものValveらしい、クセの強いゲームに仕上がっていると言えよう。

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こんな申し訳程度のペラ紙1枚のチュートリアルでこのゲームモードの内容が理解できる人間がいると思っているのだろうか。

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あとこんな感じで、味方が全滅しているにもかかわらず延々と一人で逃げまくるのもちょっと正直勘弁していただきたい。待たされている我々の身にもなってほしい。長時間待たされるにもかかわらず途中で切れ落ちする人間はなぜだか少ないのだが、おそらく途中退出に対して異常に厳しいDota2のマッチメイキングが関係しているのではないかと思われる。