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10.02 @愛媛1|クレバーで愚直

2020-2021シーズン開幕。西宮ストークスはアウェーで愛媛オレンジバイクングと対戦。世界的に考えればまだまだコロナ禍の真っ只中、こうして試合が開催できるというのはとても幸運なことでしょう。とはいえ、まだ半数近くの外国籍選手がチームに合流はおろか入国もできていないような状況で、果たして公平性を担保できるのか、プロスポーツの興行として成り立つのかといった複雑な思いもあるわけですが。

前半
愛媛はライアン・ステファン、西宮はアレクサンダー・ジョーンズ、互いに外国籍選手は1人のみという、ある意味では公平な?試合。西宮は松崎・道原・今野・谷・AJというスタート。安定感を重視したかな。

PF起用の谷さんがブロックを連発すれば、エレベータースクリーンから松崎選手が飛び出してスリー(決まってない)。なかなか面白い立ち上がりでした。ただ、オフェンスはあまり機能せず。PNRからの展開がなく、得点に苦労しました。PGが渡邉選手に代わってもあまり状況は変わらず、AJのハイピックを使うものの、下がって守る愛媛相手にハンドラーが孤立して何も生まれないことがしばしば。ほぼターンオーバーといっていいシュートミスを何度も速攻に繋げられ、愛媛にリードを許して前半終了。1Qも2Qも残り1分切ってからのマネジメントが下手。それがなければリードはしてただろうけど、だからと言って問題が解決するわけではない。

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一方、ディフェンスは強度が高かった。特にオフボールDの質が高く、俊野選手ほか愛媛のウィング陣は楽にボールを持てません。ステファンは前半でダブルダブルだったけど、逆にいえばハーフコートではそこしか得点できるところがなかった愛媛。あからさまに狙っていた速攻に対応されるとこちらも手詰まり感はあった。

後半
スタートを今野→福田に変更。これで落ち着いた。ハイピックだけでなくDHO(ドリブルからのハンドオフ=手渡し)を増やしたことでハンドラーだけでなくオフボールでの動きが活性化。前半のようにわかりやすくPGのところにAJさんがピックに行くのではなく、DHOからの揺さぶりによってディフェンスのズレが生まれ、パスの起点も増える。それを可能にするのが谷・福田という器用なウィング2人。フィッシャーHCの好みがよくわかるシーンでもありました。

AJさんにボールを預けて道原選手が走り回ってフリーのシュートを決めたり、楽にシュートが打てるようになりました。こうなってくるとAJのミドルが効いてくる。ガード陣に中へ入られたくない愛媛はステファンを終始ペイントから出さないので、練習のようにフリーのミドルを決めるAJ。

前半から引き続きディフェンスはよく、愛媛のガード陣はボール運びからプレッシャーをかけまくられ、だんだんと疲れていった印象。西宮はスティールしては走って得点し、愛媛のお株を奪いまくり。この試合、愛媛のターンオーバーはなんと24もあるんだよね。このうち西宮のスティールは12。それだけディフェンスが効いていたってことだ。

ここで築いたリードを4Qは危なげなく守って西宮が快勝。前半とは見違えるような出来でした。3Qにリードを奪ったことよりも、それを落ち着いて守って勝ったことが素晴らしいと思う。最後はAJさんも休ませられたし。全体を見渡すとタイムシェアがきちんとできていて、劉たん以外は全員が11分以上出場しているのはいいことだね。

あと、前半を観ていて思ったのは、結局、スクリーナーのマークマンがドロップ(下がる)してくると、ハイピックは攻撃の起点にはなりづらいんだなということ。ハンドラーがフリースロラインあたりからミドルを決めてディフェンスを引っ張り出してくる必要がある。前半に浜高選手がきれいなのを決めてましたね。ハイピックからどう展開するかは今後の注目ポイントではあります。

【試合のターニングポイント】
→3Q 0:54|福田選手がオフェンスリバウンドからのバスケットカウント

最後は福田選手だったけど、実は多くの選手が関わったプレーでした。パスがよく回って左コーナーの福田選手がスリー。これは外れるも、浜高選手が抜群の跳躍力でボールをチップして繋ぎ、それを福田選手がコート外に出そうになりながらAJへ渡す。AJのゴール下はリングに嫌われたものの、これを拾った福田選手がねじ込む。繋いで繋いで最後に決め切った。

この時の状況を振り返ると、西宮がリードを広げながらも愛媛がなんとか食らいつこうとしていた中で、まだどちらに流れが傾くかわからなかった。俯瞰してみるとこの試合はずっとそうで、どちらも流れを掴みきれなかった。それがこのオフェンスリバウンドとルーズボールによって、まさに西宮が流れを「掴んだ」のだと思う。

明確な戦術を駆使するフィッシャーHCのバスケットですが、それがうまく機能しないこともあるわけで。その意味では、前半は頭でっかちになって、覚えたセットをクレバーにやろうとし過ぎていたのかもしれない。こうした球際ギリギリで身体を張ることが勝利につながるのだとしたら、頭で考えるのではない愚直なプレーには情緒的な「頑張りました」とかではなく、何かを起こす力があるのかもしれない。





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