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西宮ストークス観戦記#53 アシストが語るもの❸

アシストをめぐる話の3回目。前回はアシストした選手とアシストされた選手のパターンを見ながら、ストークスのアシストシチュエーションについてあれこれ考えました。

ただ、その意味するところが何なのか、という点には触れられませんでした。というわけで、最後はその部分について検討してみましょう。つまり、ストークスのアシストはなぜあのランキングのようになるのか。

そのヒントになりそうなのが、こちらのセン北さんのツイート。これはアシストをした/された回数の合計が100以上になる選手の数をチームごとに示したものです。同じく増田林太郎さんのデータを使って、いろいろと分析されているようで、暇いや熱心な人がいるもんだ。

前回も確認しましたが、ここまでのシーズンは45試合。合計100回以上ということは、アシストをする/されるのが1試合に2回以上ある選手ということになります。であれば、検討の材料としては悪くない基準に思えます。

◉西宮はアシスト「する」選手が多い

セン北さんによれば西宮は「6→3」。それはこういうことです。

・アシストをした回数が100回以上の選手が6人(バーンズ、道原、谷、ブラッド、松崎、岸田)
・アシストをされた回数が100回以上の選手が3人(ブラッド、道原、谷)

ここから何かを読み取るためには、B2全体の中で西宮がどのような特徴を持っているかを考える必要がありそうです。

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セン北さんの数字をバブルチャートにしてみました。縦軸がアシストをした選手の数、横軸がアシストをされた選手の数です。なるほど西宮は信州よりも広島よりもアシストをした選手の数が多く、B2トップである一方で、アシストをされた選手の数は平均(2.5)をちょっと上回るくらいであることがわかります。

アシストをした選手が多いということは、言い換えれば「得点をさせた」選手が多いことになり、チームとしてはバランスアタックを志向していると言えるでしょう。西宮の場合、アシストされる方の3人の選手が揃ってアシストをする方にも含まれており、全員がボールをシェアしながら、決められる選手がシュートを打つというスタイルが透けて見えます。

◉エースはいない西宮のスタイル

これまでに見た通り、西宮はシュートが少ない(=攻撃回数が少ない・試合のペースが遅い)チームです。多くの選手がアシストをするということは、パスの出し手が多いということであり、必然的に1回のオフェンスにおけるパスも増えることが予想され、じっくりパスを回しながらシュートチャンスを見極めるためにシュート本数が少なくなるのです。つまり、西宮のシュート本数の少なさはアシストをする選手の多さと相関関係にあり、さらに言えばそれはコーチの哲学や、その反映としてのチームのスタイルによるものでもあるわけです。

では、そのスタイルとは何か? それは「エースはいない」ということです。良い悪いは別として、西宮には1試合に30点や40点をコンスタントに取るような選手はいません。スタッツリーダーのブラッド(21.1点)でさえ、どちらかと言えばスクリーンやポストプレーなどの泥臭い仕事を黙々とやりながら、コツコツと点数を積み重ねるタイプで、ボールを預けておけば一人で何とかしてくれる大黒柱タイプではありません。

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しかし、スペシャルではないにせよ得点力やセンスに秀でた選手は多く、それらの個性を組み合わせながら勝つためには、誰かにボールを集めるのではなく、全員が得点に絡めるバスケットボールスタイルを目指すべき。そうした思惑が、このアシストの本数自体の多さやアシストをした選手が多いという数字に表れているように思うのです。

とは言いながらも、ブラッドさんに頼っている部分は多いし、エースがいないことで全員が人任せになってしまう悪い癖とも表裏一体であって、一概に良いことばかりではありません。それでも、中地区2位というまずまずのシーズンを過ごしている西宮の奮闘が如実に表れているのが、このアシストに関するデータであり、限られた人的・金銭的リソースの中でなんとかやりくりしているエース不在のチームの悲喜こもごもを物語っているようでもあるのでした。

◉アシストとチームスタイルの関係

ところで、アシストをした/された選手の数とチームのスタイルの相関は、西宮以外のチームにも見られるのでしょうか。そこで、先ほどのバブルチャートに中央線を引き、マトリクスのような感じにしてみました。

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バランスアタック型
図の右上、アシストをした選手もされた選手も多いゾーンは、西宮と同じくバランスアタック型と見ていいのでしょうか。ここはゾーン内でもタイプがさらに細分化されそう。上へ行くほどバランス重視で、右へ行くほど得点力の高い選手が多くなるわけで分厚い選手層を活かしたエリートチームということになるのかな。

だとすれば広島は納得できるものの、同じところに青森がいるのが面白い。確かに全員が超攻撃的なイメージ。若いチームだけにこれから化けるということなのか。福岡もここにいるのは意外な印象ですが、これはもしかすると外国籍選手が入れ替わっているために「された」方の選手が多くなっているのかもしれない。

■司令塔型
対して、アシストをした選手は少なく、逆にされた選手は多いというのが右下。これは一人の選手が複数の選手にアシストを供給しているわけだから、司令塔型と呼べそう。熊本が極端だけれど、これは要するに石川海斗選手だよね。こんな風に数字に出るとは。群馬も役割分担がはっきりしてそう。

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■大黒柱型
司令塔型の対偶。アシストをした選手は多いけど、された選手は少ないゾーンは、得点を取る選手が絞られるわけだから大黒柱型とでも呼ぼうか。福島の1人はジャヒード・デービスかな。東京EXはフェイゾンとステファンだろうな。意外なのは名古屋。言われてみればパンチ力不足かもしれない。

西宮以外はまともに見ていないので、あくまで推測です。それに100回以上という基準が妥当かどうかもわからないし、例えば150回とかにしたらもっとはっきりするかもしれない。あなたの応援しているチームはいかがでしょうか? 他チームのブースターの方の印象も聞いてみたいな。


※このnoteは単なるファンの個人的な感想であり、
西宮ストークスとは一切関係のない非公式なものです。



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