わたしだけの海

あなたの薄い皮膚から漏れ出る心臓の音を辿り、
規則的に揺れる身体をなぞる。目を閉じる。
深い深い場所に足が着いた。
そこは海底のような場所で、砂漠のような場所だった。
心地良さに呑み込まれてしまう前に目を開ける。

目の前で膨らんだり縮んだりする
あなたの背中はなんだか、
潮の満ち引きに似ていると思った。

あなたが息を吸って、潮は引く。
あなたが息を吐いて、潮は満ちる。
その繰り返し。

わたし本当は、
あなたの潮汐を操る
引力みたいな人になりたかった。

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