愛と悲しみ

愛する他人との終わりを想像する。

他人との日々は、いつかお別れする時の悲しみを、少しずつ少しずつ育てていく作業だ。それが何よりも愛おしいのは、この世界でいちばんの皮肉だ。

愛することが、ゆるやかに私の首を絞めてゆく。
他人との関係がいつかは終わってゆく事実が、胸を打つ。終わりの予感が、私に他人を大切にすることを強要する。悲しみの予感によって愛は育つ。
そうして、愛によって悲しみは育つ。

いつかやってくる悲しみを見ないふりして、甘い日々の蜜を吸っている。この愛おしさが悲しみに変わってしまうその日まで。

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