2022.3.28
ずっと前から友達を忘れていたことを思い出した。
名前も姿もあんまりよく思い出せない。
だけどそれはわりと必然のことだと思う。
記憶の中でぼんやりと、気付かれないまま鎮座していたその友達は、
現実世界に存在してはいなかった。
3匹の小さくて長い猫だった。ような気がする。
今となってはもう、正しいのか分からないし、
答え合わせは一生できない。
いわゆるイマジナリーフレンド、というやつ。
いつからか見えなくなってしまった友達。
毎日窓を開けて庭にやってきた
彼らを家に入れていた。会話もできた。
物体として存在はせずとも、確かにいたのだ。
幼い私にしか見えなくても彼らは確かにいた。
家の縁側でカーテンを揺らす3匹の猫の姿。
それが幼い頃の私の記憶なのか、大人になった私が再構成したイメージなのかはもう分からない。
失ってしまっていた。随分と長い間。
大人になって大事だったはずの友達を忘れた。
そのようにして失われた記憶が、物が、人が、
まだ有るのならと、考えてぞっとした。
大人になることはものを忘れること。
いつか時間の経過とともになくした記憶をすべて、
拾い集められますように。
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