2023.5.12.

久しぶりに電話して、近況を喋って
なんか最近しんどくて、そのことに気付かなくて、
そんなつもりなかったけど涙が出てきて、
音を立てずに泣いていた。

少し鼻にかかった声も、
息を止めるような話し方も、
語尾の震えた声も、
少し増えた呼吸も、
次の言葉を紡ぐために置く間も、

自分でもわかりやすいほどに泣いていたのに、
母親は何も言わなかった。黙りもしなかった。そのまま私と話を続けた。

なおさら泣けた。
嘘が下手くそで、気を使うのが下手な母親が、
なんでも先に口に出しちゃうようなひとが、

知らないふりをしている、ないことにしている。

ふわふわしたやさしさの輪郭を掴んだ気がした。
ふと、こういう時流れる涙ってあたたかいなと思った。

温度の高い涙を、見ないふりしてくれること、
それは多分、やさしさだ。

愛している。やさしさを知るとき、胸を張ってそう言える。

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