見出し画像

釜揚げしらすを食べすぎて数値が爆上がりした仲買人

鮮魚仲買を生業とする夫は一直線な性格である。
そしてとにかく一途だ。

何に対しても厳選して目利きし、これと決めたものに対して深い愛情を注ぎ、愛おしむ。
モノであればそのメンテナンスは怠らず、使用後は磨いて保管。気に入ったTシャツは首が擦り切れるまで着倒す。廃盤になるのが怖いのでいくつもストックする。パッケージを開けていないコレクションもある。

夫の母親は語る、
『大好きなおもちゃを棚に並べて、遠くから眺めては位置を微調整し、角度をかえて眺めては並び順をかえる。一日中やっていた。時々ハンカチで磨いていた。そんな子だった』と。

本筋と違うようで本質のような話、子供時代の話は一旦置いておいて、まぁ彼は『一途』であるという話。食べ物に関してもその性格は顕著である。

10年ほど前、私と知り合う前だが、彼は釜揚げしらすにハマったそうだ。

美しい釜揚げしらす。


一途な性格の彼である。食事の度に、ご飯が見えなくなるほどシラスを盛り付けて何杯も食べていたそうだ。上だけ食べてご飯が見えたらしらすを継ぎ足す。
その末路は誰もが想像するに難くない「高尿酸血症」。
ある日、右足の親指の付け根に激痛が走り、病院に行った。

「先生、釜揚げシラスを毎食山盛り食べてます」
「間違いないね」


治療の末に完治したが、右足の親指の付け根にスーパーボールを半分にしたくらいの肉腫が残った。
長時間歩くと靴に擦れて痛むらしい。

「一途にやりすぎるとこんなこともアルヨ」という話。

この肉腫とは10年ほど付き合って、ついに取り除く手術をしたのだが、この話は別の機会に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?