腰痛の話

皆様は、腰痛持ちでしょうか。

私は「持ってる」と言えるほど頻度で痛くなる訳では無いが、腰が弱い。

私が大学2年生の頃、突然腰が痛くなった。

当時はと言っても2年前の話なのだが、理由がわからなかった。

バイト先のガソリンスタンドでのタイヤ交換か、同じ体制でのコーティング施行か、思いつきで始めたコサックダンスの練習か、ロフトベッドのハシゴで転んだことか

すべて当てはまる気がしたけれど突然痛くなったので、どれが原因かは未だに不明である。


最初は(なんか痛いなあ)と思っていたが、3日目あたりで床に落ちてるものが取れないことに気付いた。

講義中に隣に座っていた知らない学生が、私の足元にボールペンを落とした時だった

しれっと拾おうと、椅子に座っている状態で腕を床に伸ばそうとする。その時、一定の腰の位置から動かなかった。いや、痛すぎて一定の位置から伸ばせなかった。

向こうから見たら、拾おうとする体制を見せているが一向に拾わない奴だっただろう。おちょくってると勘違いされてもおかしくは無い。

不思議そうな顔をする学生に「す、すみませんこれ以上手下げられなくて…」と言うと困惑しながら、私の足元まで手を伸ばして拾っていた。ごめんなさい。


流石にここまで痛いと怖いなと思い、近くにある整骨院へ向かった。

人生初めての整骨院である。しかも、私の家の真向かいの整骨院だ。少し恥ずかしいが、真向かいの整骨院に私の腰の状況を知られたところで生活に支障は無いだろうと思い予約をして向かう。

如何にも、整骨院の先生!!!というおじいちゃんが診察を始める前に、受付所で後ろを向かせ、私の背中を一目見た後「右の腰か」と呟く。

「わかるんですか!?すごい!」とはしゃぐと『仕事だからね』と呟いた。身体のことを知り尽くしているのか、すごい。プロだ。と興奮をした。


興奮したのもつかの間、診療台にうつ伏せで寝転ばせられた私は無言でズボンと共にパンツを下げられる。突然、半ケツ状態である。


整骨院のおじいちゃんに、おしりを見られて恥ずかしいという感情は無かったのだが、非常に困惑した。なにか一言言ってくれよ!と思った。
おしりを晒すのには、それなりの心の準備が必要なのである。


なにも言わないおじいちゃん。半ケツの私。見守る受付係のおばあちゃん。


そのまま、私の腰あたりを確認すると
何も言わずにシールのようなものを私のおしりと腰に貼り出した。

(!?!?!?こわい!!!貼ったものか何か教えて欲しい!!!なんなら、私の肌に貼ってもいいか聞いて欲しい!!!治したいから、聞かれたところで絶対断りはしないだろうけど!!!!!ワンクッション置いて欲しい!!!!!!!)

そう思っていると、無言だったおじいちゃんが一言放つ。

「流すから、そのまままっててね」

何かは言わなかったけれど流すという単語で察した。

電流だ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!この人何も言わずに私に電流流すシールつけて、流すよの一言で、この私に電流を流しますよ!!!みなさん!!!!!!!!!!


そもそも、私は電流を体に流したことがない。

家族で電流が流れるタイプのマッサージ機器が来た時、私以外の家族は興味本位でやっていたが、私は一切近付かなかった。それくらい、電気への恐怖心が強い。


私はポケモンで言ったら、水タイプである。泳ぐのも好きだし。走るのより、泳ぐ方が得意である。これが何を示しているか分かりますか??
ポケモンの水タイプの弱点は、でんきタイプの攻撃なんです〜〜!!!!!!!!!!!!!電流なんかかけようもんなら死んでしまう!!!!!!!!

しかし、もう電流は流されるのは確定である。
震えながら電流を流れるのを待っていると、私のおしりと腰が小刻みに震え始めた。すごく弱い電圧だったので、暖かい程度の感想は無かったが、10分ほどおじいちゃんが診療室から席を外した。

少し狭い部屋に1人で半ケツを出している状況が屈辱的だった。
そもそも診療所といっても、カーテンで仕切られただけである。カーテンの向こうはもう受付室なのだ。
受付室では、おばあちゃんとおじいちゃんのほっこり会話が聞こえてくる。

この人、性格的に無口なんだと思ったけど
患者とはしゃべらないだけなんだ…

と思い、なんだかやるせない気持ちになった。無口な人間だったら、まだ私に何も言わずおしりを出させたことや、電流を流した事はわかる。お喋りなのに言わなかったんだ…となった。少し悲しかった。

途中、他の患者が間違えて入ってきたりしたけれど、別に半ケツくらいいいか…と思うくらい心は落ち込んでいた。今思うと、すごく嫌だなあ。顔は見られなかったけど、「あっすみません」っていってすぐ出てった人、絶対間違えたんだろうなあ。カーテンで仕切られてる空間に間違えて入ることあるかなあ。

おじいちゃんが帰ってきて、そのまま少し雑にシールを剥がす。

無心でお会計を済まし、外へ出る。


『あれ????』

そのまましゃがんでみる

『いたくない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』


あのおじいちゃんは、一日で治してくれたのである。すごい。さすがプロだ。
心做しかおしりも喜んでる気がする。よかった〜!


そうして、約2年後の今、私は突然腰痛に襲われている。今は腰痛1日目である。

今回も原因は分からない。
しかしまた、半ケツを出すかどうか悩んでいる自分がいる。3日後に痛かったら、またおしりと相談をして、電流を流す覚悟が出来たら行ってみようかな。

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