続・大学に行きたい2

公立の音大受験は見送った。

準備不足にもほどがあった。検索してヒットしたピアノの先生は芸大の受験のプロで、この先生に一番初めに出会えたのはラッキーだった。ずっと東京で音楽を教えていたが数年前に帰ってきたとのこと。厳しくてアツいプロだ。

ゆっくりまじめに頑張って2年、3年もしたら受験できるくらいにはなるんじゃないかしら?と言われ、今でもピアノ教室は通っている。

1時間ピアノ、その後は聴音、視唱歌唱、楽典。みっちり2時間のレッスンを月に3回。楽しくて大変。

まあ音楽は先生について学べてるし、別に音大にこだわらなくてもいいかも?

なんて大学のことなんか頭からすっぽりなくなり始めた頃、お風呂に入ってるときに、「そういえば通信教育、夜間、いろいろあるよな?」と思いつき調べてみたところ、慶応大学の通信が目に留まった。

大学コンプレックスの私はもう飛びついてすぐに説明会へと出かけた。

慶応、法政、近大、早稲田も候補だった。

説明会は結構人も多く世代も意外と上で驚いた。私でも遅くないんだと勇気が出た。

どの学校もそれぞれ特徴があった。

慶応は絶対に卒業できない自信があった。システム自体にもそう簡単に卒業させてくれなそうな空気があった。

法政は試験の回数や場所の多さから見ても比較的なんとか頑張れそうだった。

近大は卒業させてくれそうな体制だったと記憶してる。頑張ればちゃんとゴールが見える。そんなシステムだった。

早稲田は高い。そしてもう募集が終わっていた。

どこも魅力的ではあったが、そんなに興味のないことを学ぶにはなかなか重たい腰が上がらなかった。法律も、経済も、経営も興味はあるけれど、実際のところ、軽い興味であって、深めていきたいかと言われたらNO。

通信で、そこそこ名前が良くて、学べることが限られるならうーん、この学部かな?程度。

通信大学の選択もここで一度立消えた。

まあ別に、いつでも学べるし、公立の音大受験もいつかすればいいしなーと、いつか学ぼうという気持ちは持っていたが、今、すぐに!という想いは冷めていたように思う。

この説明会、主人がすべて付き合ってくれた。大学進学のプロ(3回行っている)が一緒だとそれは心強い。質問もおかげで見当違いなことを口にせず済んだ。私よりも前のめりに調べたり足を運んだりしてくれる主人には感謝しかない。

主人は地方の国立大学で研究をしているため、毎月どこかしらは居ない。1週間とか長ければ1か月近く家を空けることもある。この時も丁度、長期の出張で不在だった。

ふと、気になって

「音大・・・通信・・・大学・・・」

と検索の窓に打ち込んでみた。

「大阪芸術大学通信教育部音楽学科」

日本で唯一の音楽を学べる通信大学とのこと。うそ、まじか、私は西に住んでいるため、場所も申し分ない。

え、もう4月だけど、5月までは4月生で入学可能??

すぐに資料を取り寄せ、主人にも相談せず、説明会にも行かず、せっせと願書を提出したのである。

いよいよ入学金やら授業料やらというタイミングで、主人には報告した。

「すごくいいと思うよ」

と一言。

正直まだ見ぬ学校ではあるが、学ぶことが音楽なので、わたしにとっては日常。好きなことを学べるってこんなにわくわくするものかと驚いた。

法律や経済には心が躍らなかった私だが、ト音記号にもフェルマータにも、「楽典」という言葉にもキラキラとした思いで溢れた。

無理して名前だけに惹かれ、慶応大学を選ばなくてよかった。(私なんてレベル的に無理、記念入学となっていたことは間違いない。)

こうして私の大阪芸術大学通信教育部音楽学科の奮闘が始まった。

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